コラム

元気な企業を見てみれば、日本の実像はそんなに悪くない

2024年07月09日(火)16時40分

アメリカの半導体企業、IT企業のいくつかは台湾系・中国系・インド系の人たちが動かしているし、ドイツの自動車企業は中国の自動車企業とほぼ合体して、中国市場の制覇、電気自動車(EV)の開発を進める。日本の企業もアメリカなどで果敢なM&Aを進めてきたし、AI開発のような先端部門でも「Sakana AI」社はグーグル脱藩組に日本の元若手外交官が加わった痛快なユニコーンだ。

企業の経営部門は急速にグローバル化していて、人種・民族の混在は当たり前。外国人を「おもてなし」する外部の存在としてしか見ることのできない日本人の常識では理解ができない。グローバル企業やグローバル人材だけが先に行ってしまわないよう、それら企業の税収は一国が独占することなく、関係各国の間で分配する制度をつくっておくことが重要だ。


「日本は円安で貧しくなった」という言説が流行しているが、トランプ前米大統領が再選して利下げでもしようものなら、円安は急速に解消され、日本経済は急浮上して実力相応の姿を見せるだろう。労働力不足を補うレストランでの配膳ロボットのように、日本人は必ず解決策を見つける。うわべ、そして付和雷同の報道にだまされず、本当のトレンドを見極めていきたい。

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プロフィール

河東哲夫

(かわとう・あきお)外交アナリスト。
外交官としてロシア公使、ウズベキスタン大使などを歴任。メールマガジン『文明の万華鏡』を主宰。著書に『米・中・ロシア 虚像に怯えるな』(草思社)など。最新刊は『日本がウクライナになる日』(CCCメディアハウス)  <筆者の過去記事一覧はこちら

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