安倍元首相の死去後にようやく成就したアベノミクス

アベノミクスの効果は安倍元首相の死後に表れ始めた YUYA SHINO-REUTERS
<現在の税収増は、皮肉なことに安倍政権の退場後に顕著になっている>
われわれの気が付かないところで、何か大きなことが起きている。政府一般会計の税収がどんどん伸びているのだ。
2022年度は約71兆円で、21年度より約6%も伸びている。消費税率が19年10月に8%から10%に上げられた後、税収は3年連続で過去最高を記録している。消費税収だけでなく、法人税収も昨年度は10%、所得税収も5%伸びている。
これは2つの可能性を示唆している。1つは金利を下げ、財政支出を拡大してきたアベノミクスが、ついに日本経済を持ち上げ税収を増やし始めた、財務省の均衡財政論では成長は実現できないことが証明されたのだ、という可能性。もう1つは、財務省の陰謀論。財務省は日銀を使ってインフレを意図的に激化させ、国債の債務を相対的に圧縮することで、国の負債を一気にチャラにしてしまおうとしているのではないか、税収増はその副産物だ、という可能性。
後者は、終戦直後の日本で実際に起きたことだが、今そういうことが進行しているとは思えない。ハイパーインフレになれば「借金チャラ」も可能だが、今の日本で起きる程度のインフレは、金利の高騰と国債利払いの増加を招くだけだ。だから、財務省がそのような状態を望むはずはない。
数字を見てみよう。一般予算の支出決算額を見ると、05年度から12年度にかけて13.4%しか増えていないのに対し、第2次安倍政権下の12年度から20年度にかけては実に52%の増加を示している。
アベノミクスは賃金増を伴わなかったために、消費と投資を増やさなかったのだが、財政拡大と低金利だけでもGDPを増加させた。GDPは12年末の安倍内閣登場までの7年間で6%縮小(08年のリーマン・ショックのため)していたのに対し、安倍政権の間はコロナ流行前の19年までに11.5%伸びている(インフレ率は勘案せず)。
23年を除き成長率は2%以下だったが、それでも就職氷河期といわれていた若年層の雇用を改善した。だからこそ、安倍晋三元首相の葬儀などで多数の青年が長蛇の列を作ったのだ。
海外要因によるプラスのスパイラル
過度の「均衡財政」志向はデフレを生んで、自分で自分を縮小させる。一方、国内の貯蓄の範囲内で国債を発行することは、それが過度にならない限り、経済を拡大均衡の方向に導く。いま起きていることは、このことを証明してくれている。
軍事パレードの陰で進む金融危機──中国が直面する二つの試練 2025.09.10
トランプが復活させたアメリカの「ルーズベルト流」帝国主義 2025.08.30
チャットGPTに日本のポピュリズムについて聞いてみた! 2025.07.26
バンス米副大統領が信奉する新思想、「ポストリベラリズム」の正体 2025.07.11
トランプ肝いりの「ステーブルコイン」でドル急落? 2025.07.01
人口減少の日本が取り入れたい、デンマーク式「財団企業」の賢い経営 2025.06.14
アメリカが経済協力から撤退した今、日本が世界のODAで旗を振れ 2025.05.27
-
生成AI商材/大手外資系「インサイドセールス「SV候補」」/その他コンサルティング系
ブリッジインターナショナル株式会社
- 東京都
- 年収340万円~450万円
- 正社員
-
「赤坂」外資人材サービス アソシエイトコンサルタント/未経験からチャレンジできる ハイブリッド勤務・年収UPを目指せる
ランスタッド株式会社
- 東京都
- 年収400万円~2,000万円
- 正社員
-
「急募」外資系マーケティング/アカウントマネージャー募集/少数精鋭チームで戦略力と成長を実現「港区・麻布十番勤務」
PMG JAPAN株式会社
- 東京都
- 年収450万円~650万円
- 正社員
-
東京/外資系クライアント多数/バイリンガルデザイナー
株式会社ア・ファクトリー
- 東京都
- 年収400万円~700万円
- 正社員