少子化はこの世の終わりなのか?

岸田首相は「異次元の少子化対策」を進めるとぶち上げたが YUICHI YAMAZAKI/GETTY IMAGES
<人口が少なくても高い生活水準を維持している例はいくつもある>
岸田文雄首相が少子化対策に力こぶを見せている。地域エコノミストの藻谷浩介氏が2010年、著書『デフレの正体』で、労働力人口の減少が日本経済不振の根本的原因だと指摘して以来、少子化への諦めが日本社会に染み付いてしまった。実際には高齢者と女性の就労増加で、日本の就労者数は底だった2012年以来7.3%増えたし、実質GDPも5.3%増加しているのだが。
「人口増=善」という考え方は、近代の産業革命以降のものだ。それまでの、GDPがほとんど伸びない農業社会では、英経済学者のトマス・ロバート・マルサスが言ったように、人口が増えすぎればみんな貧しくなるから、「間引き」もまれではなかった。中世の西欧は14世紀中頃、人口の約3分の1をペストで失う大悲劇に見舞われている。それで経済は一時停滞したが、労働力の減少は賃金の上昇、次いで消費の増加と15世紀以降の経済活性化を招いている。
「人は消費者だ。人が多い国では市場が大きく、国力も大きくなる」ということに気が付いたのは、17世紀のイギリスだ。この国で産業革命が真っ先に成立したのは、人口ではるかにオランダに勝り、フランスのように国内市場を貴族に分断されていなかったからだと言われる。
このことは、(輸出競争力を脅かさない範囲で)賃上げをすれば、人口が減ったからといって経済が必ず縮小するものでもない、と教えてくれる。人口が少なくても高い生活水準を享受している例は、北欧やベネルクス3国にある。これらの国では人口が少ないからといって、通勤電車の経営が成り立たなくなっているわけでもない。
旧世代の政治家には手に負えない
しかし、日本は大人口の国。日本より大きな領土に1000万しか人口がいないスウェーデンに一足飛びになれるわけではない。今の日本の課題は、少子化をできるだけ食い止め、微減していくであろう労働人口でどうやって社会保障システムと経済を回していくか、ということになる。
現役層の人口が減ると、年金・健康保険のシステムを維持できなくなると言われる。確かに国民年金では、現役人口が小さいと、引退者の年金を負担するのはきつくなる。一方企業を通じて払い込む厚生年金は、基本的には自分の将来の年金を自分が現役のうちに払い込んでおくシステムになっているので、人口構成が逆ピラミッド型になってもやっていける。健康保険は、現在高齢者の負担分が引き上げられている。
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