コラム

少子化はこの世の終わりなのか?

2023年02月21日(火)16時30分

教育などの費用がかかることが、子供を産みたくても産めない最大の理由とされる。では大学の無料化で、出生数は増えるのか? 増えないだろう。一流校に入るには、塾やら何やらで多大な費用がかかるからだ。

これらを移民増や、人工知能(AI)・ロボットで補うことはある程度できるが、限界がある。移民はアメリカや西欧でのっぴきならない社会問題を起こしており、これは簡単には解決できない。

最近では保育園不足もかなり解消された。父親の育児休暇制度も以前よりは広がっている。しかし、筆者(元公務員)の経験からすると、育児のために早めに帰宅することは「不可能」で、夫、妻、祖父母のいずれかに容赦ないしわ寄せがいって初めて育児は成り立った。そのあたりが、団塊世代の子供たち前後から、「子供を産まない」傾向が目立つ背景だろう。

旧世代の政治家たちに、この問題は手に負えまい。児童手当を一律に増やそうとしているが、マイナンバーカードの情報も使ってもっと精査し、本当に困っている世帯に手厚い手当が行くようにすべきだ。「カネをつけたから終わり」では困る。

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プロフィール

河東哲夫

(かわとう・あきお)外交アナリスト。
外交官としてロシア公使、ウズベキスタン大使などを歴任。メールマガジン『文明の万華鏡』を主宰。著書に『米・中・ロシア 虚像に怯えるな』(草思社)など。最新刊は『日本がウクライナになる日』(CCCメディアハウス)  <筆者の過去記事一覧はこちら

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