コラム

金の切れ目が縁の切れ目、中国「一帯一路」夢のあとさき

2019年05月03日(金)06時40分

そして今、中国の国際収支は赤字寸前でばらまき外交ももうできない。金の切れ目が縁の切れ目。現代のモンゴル帝国は、夢に終わることだろう。

中央アジアでは3月にカザフスタンで大統領が交代した。ウズベキスタンでは16年に就任したミルジヨエフ大統領がまだ権力を固め切れていないなど、不安定要因は残る。だが日本は一帯一路に神経質になったり、圧倒されたりする必要はない。中国の手掛けるプロジェクトでいいものがあれば協力し、中国が設けたインフラを利用させてもらう。

この様子だと、中央アジアは中国に牛耳られてしまうことはない。逆に不安定要素を乗り越えて国家の体力を強化すれば、中国やロシアに物申す存在になるだろう。日本は中国の力を逆手に取って自分の利益を図る、「合気道外交」を心掛ければいいのだ。

<本誌2019年4月30日/5月7日号掲載>

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※4月30日/5月7日号(4月23日発売)は「世界が尊敬する日本人100人」特集。お笑い芸人からノーベル賞学者まで、誰もが知るスターから知られざる「その道の達人」まで――。文化と言葉の壁を越えて輝く天才・異才・奇才100人を取り上げる特集を、10年ぶりに組みました。渡辺直美、梅原大吾、伊藤比呂美、川島良彰、若宮正子、イチロー、蒼井そら、石上純也、野沢雅子、藤田嗣治......。いま注目すべき100人を選んでいます。


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プロフィール

河東哲夫

(かわとう・あきお)外交アナリスト。
外交官としてロシア公使、ウズベキスタン大使などを歴任。メールマガジン『文明の万華鏡』を主宰。著書に『米・中・ロシア 虚像に怯えるな』(草思社)など。最新刊は『日本がウクライナになる日』(CCCメディアハウス)  <筆者の過去記事一覧はこちら

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