コラム

新国王も容赦なくからかうイギリス人は、皇室に対する畏敬の念に満ちた日本人と違って不敬か?

2023年05月08日(月)14時15分

僕が言えるのは、間違いなくお祝いムードが漂っていたということ。イギリスは今まさに不況に陥っているが、人々は心から沸き立っていた。それこそが君主制の一面なのではないかと僕は思う──現状に著しく不満な時でも、歓声を上げて国旗を振ることができるということが。

もう1つ印象的だったのは、人々が、格別イギリスっぽい調子でジョークを言い交わしていたことだ。「こんなに大勢の警官は見たことないな......彼は何をやらかしたんだ?」とか、「雨が降り出したぞ......これで行幸はおしまいになるな」とか、「彼ら、今はどこにいる? 多分パブにひとっ走りしてるんだろう......」など。

日本で僕は、当時の天皇皇后両陛下(現上皇ご夫妻)、そして当時の皇太子ご夫妻(現天皇皇后)を目にする機会があったが、群衆はイギリス国民と同じように沸き返っていたものの、もっと畏敬の念に満ちていた。実際のところ僕は、イギリス人のリアクションが不敬に当たるとは思っていない。むしろ軽口をたたき、王室メンバーを支配者としてではなく同胞として捉え、だからこそ彼らをジョークの対象に加えようとする。

王室が懸念するようになるとしたらそれは、僕たちが王室相手に国家的娯楽──気さくなからかいジョーク、を飛ばさなくなったときだろう。

プロフィール

コリン・ジョイス

フリージャーナリスト。1970年、イギリス生まれ。92年に来日し、神戸と東京で暮らす。ニューズウィーク日本版記者、英デイリー・テレグラフ紙東京支局長を経て、フリーに。日本、ニューヨークでの滞在を経て2010年、16年ぶりに故郷イングランドに帰国。フリーランスのジャーナリストとしてイングランドのエセックスを拠点に活動する。ビールとサッカーをこよなく愛す。著書に『「ニッポン社会」入門――英国人記者の抱腹レポート』(NHK生活人新書)、『新「ニッポン社会」入門--英国人、日本で再び発見する』(三賢社)、『マインド・ザ・ギャップ! 日本とイギリスの〈すきま〉』(NHK出版新書)、『なぜオックスフォードが世界一の大学なのか』(三賢社)など。

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