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イギリスで「学生のような(質素な)生活」は、もはや死語?
今の学生たちは、年間9000ポンドほどの生活費補助を借りることができる(実家住まいの場合は少々減額されるし、物価の高いロンドンに住む学生はもう少し高額になる)。
この大きな金額に照らし合わせれば、月額150ポンドを上乗せしてもうちょっといい部屋を借りても大丈夫だろう、という気になるのが人間の本質というもの。そして、4万ポンド以上の借金を抱えて大学を巣立つとなったら、試験の打ち上げの東京旅行に800ポンドかかるとなっても、たいした金額には見えないものだ。
彼らの物の見方は、僕とは完全に違う。僕は年間2000ポンド以下で暮らしていたことを覚えているから、彼らは既に大変な額の借金をしていると考える。彼らはそれを「多少は増えた」くらいに考えている。
もちろん、僕がイギリスの若者の浪費を良く思っていないこともあるけれど、それ以上に彼らを借金漬け生活へと「プッシュする」システムを懸念してしまう。数万ポンドの無担保債務を抱えるのが常識になり、身の丈に合わない高価な買い物もできるようになってしまい、「自分へのご褒美」がいいレストランでの食事、ではなくてタイのリゾートホテルでの休日になってしまう......そんなシステムだ。「学生のように生活する」は今や、そんな意味になってしまった。
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