コラム

ビットコインはこうしてビットコインになった......消えた創設者、チェーン上の埋蔵金、意志を継ぐ者たち

2019年08月20日(火)16時34分

ビットコインの開発

ビットコインの開発は有志によって行われており、決定的な権限を持つ主体は存在しない。

・ビットコインはSatoshi Nakamotoによって発案された
・それ以降はNakamotoを含む有志によって開発され、途中でNakamotoは姿を消した
・現在はビットコイン関連企業に所属しながら、ビットコインの開発に関わる開発者もいる(Linux等のオープンソースプロジェクトと同じ)
・マスターブランチへのコードのマージ(提案されたコードの統合)を管理する人物は複数存在するが、彼らは特別な決定権を持つリーダーではない

ビットコインの発行

ビットコインの最も分かりづらい点は「どこでどのように発行され、誰にどのようなルールで分配されるのか。ビットコインを支配するグループや企業がいないのに、どうやってコントロールしているのか?」という部分ではないだろうか。

・ビットコインは10分毎に一定量が新規で採掘されるが、採掘できるのはそのための計算競争に勝った1人のマイナーで、そのマイナーに新規発行量の全てが配布される
・マイニングには誰でも参加することができるが、競争が激化した現在ではマイニング専用のハードウェアと安い電気代に加えて、マイニング独自のノウハウが必要なためマイニング拠点は電気代や空調代の安い中国や北欧に集中している
・所有している計算量が多ければ多いほど、新規発行ビットコインを手に入れられる確率が上昇する
・マイニングは経済的インセンティブを与えることでビットコインブロックチェーンをセキュアにする仕組み(ここでのセキュリティはコードのバグを突く攻撃に対してではなく、ルールに従った正面からの攻撃に対して)
・ビットコインの獲得には大量のマイニングハードウェアと電気代、マイニングファームのノウハウが必要であり、無から価値を作り出しているわけではない

ビットコインの資産性

ビットコインの利点として恣意的な価値の希釈が起きづらい点が挙げられる。しかし、「これだけ価格が変動しておいて、何が価値の保存なのか」「そもそも株と違って価値の裏付けがないし、法定通貨と違って納税にも使えないではないか」と思う方も多いだろう。

・ビットコインには発行上限があり、2100万以上のビットコインは採掘されない(この点でゴールドになぞらえられることがある)
・発行上限の存在はインフレによる通貨価値の希釈を回避する手段となり得る
・ビットコインで納税はできないので、納税用途での価値の裏付けはない

プロフィール

indiv

2015年にイーサリアムに出会い暗号通貨界隈へ参入。2017年からはフルタイムで業界の仕事に従事。フリーランスとして複数の企業に関与しつつ、暗号通貨関連の調査研究・アーカイブを行うTokenLabにて業界の経営者や投資家に対して知見の共有を行う。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

先行きの利上げペース、「数カ月に一回」の声も=日銀

ビジネス

スポット銀が最高値更新、初めて80ドル突破

ワールド

米大統領とイスラエル首相、ガザ計画の次の段階を協議

ワールド

中国軍、30日に台湾周辺で実弾射撃訓練 戦闘即応態
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ISSUES 2026
特集:ISSUES 2026
2025年12月30日/2026年1月 6日号(12/23発売)

トランプの黄昏/中国AI/米なきアジア安全保障/核使用の現実味......世界の論点とキーパーソン

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 2
    マイナ保険証があれば「おくすり手帳は要らない」と考える人が知らない事実
  • 3
    【銘柄】子会社が起訴された東京エレクトロン...それでも株価が下がらない理由と、1月に強い秘密
  • 4
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 5
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 6
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」と…
  • 7
    「アニメである必要があった...」映画『この世界の片…
  • 8
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...ど…
  • 9
    2026年、トランプは最大の政治的試練に直面する
  • 10
    素粒子では「宇宙の根源」に迫れない...理論物理学者…
  • 1
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 2
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 3
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 4
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 5
    中国、インドをWTOに提訴...一体なぜ?
  • 6
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツ…
  • 7
    【過労ルポ】70代の警備員も「日本の日常」...賃金低…
  • 8
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...ど…
  • 9
    批評家たちが選ぶ「2025年最高の映画」TOP10...満足…
  • 10
    アベノミクス以降の日本経済は「異常」だった...10年…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 3
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 4
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 5
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「…
  • 6
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 7
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 8
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 9
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 10
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story