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顔も位置もDNAも把握される――米国で現実化する「SF級監視国家」
TechOps Specialty Vehiclesは、「スティングレイ」とも呼ばれるIMSIキャッチャー(セルサイトシミュレーター)を提供している。「スティングレイ」という名称は、もともとハリス(現L3ハリス)社が製造した初期型の一部がこの名称だったため、この種の技術の総称としても知られる。スマホの傍受や位置特定に用いられる装置である。
この他にも、バイデン政権下では人権への懸念から使用を中止していたスパイウェアをイスラエル企業Paragon Solutionsから購入したり、ShadowDragon社のSNS分析システムの導入、Babel Street社の世界中のスマホの位置を特定するLocateXなど枚挙に暇がない。これらは氷山の一角にすぎない。
保険、消費、移動など、個人が日常生活で利用している民間企業のデータがICEに渡っている。
監視対象は全世界
ここまで読めばわかるように、これらの監視が移民に限定されていないことは大きな問題だ。アメリカにいる者をすべて調べ、不法移民をあぶり出すという理屈のため、アメリカにいる人間は誰でも監視対象だ。つまり、もはやICEはアメリカにいるすべての人間を監視する組織になっているのだ。
専門家は、この状況を「移民排除を名目にした全国民監視」と指摘する。データブローカーとAIの発達により、国家はかつてないほど低コストで包括的な監視を実現できるようになった。その最先端にいるのがICEなのだ。
こうした動きが示すのは、アメリカが「自由と法の国」から、「アルゴリズムとデータに統治される監視国家」へと静かに変貌しつつある現実だ。移民政策の名の下に進むこの変化は、いずれ国境を越え、他国の制度設計にも影響を与える可能性がある。
現時点でも、アメリカに支社があったり人材を送り込んでいたりする企業は、それらが監視対象になることを前提に考えなければならなくなっている。政府批判のSNS投稿をした職員や研究者は、一度アメリカを出た後、再入国時にSNS投稿をチェックされ、入国拒否される可能性がある。
次のステップは、全世界を対象にした監視システムの構築の可能性が考えられる。潜在的なテロリストの入国を事前に防止できるほか、アメリカで有罪判決や制裁対象となった人物が国外に潜伏している場合に、あぶり出すことも可能になる。
たとえばトランプ政権は、EUが米ビッグテックへの規制を強めていることを批判し、報復措置として具体的な企業名を挙げて制裁を行う可能性を示唆した。
同様に、日本企業に対しても、不法移民を擁護したりトランプ政権を批判した個人が所属する企業や、居住する自治体に対して、本人をアメリカに送致して裁判を受けさせなければ、取引停止とする報復措置を宣言する可能性がある。
取引停止は、アメリカへの輸入の停止だけでなく、米ビッグテック(Google、Microsoft、Amazonなど)が提供するクラウドなどのサービスを停止する形を取ることも考えられる。トランプなら、やりかねない。
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