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アメリカで起きている偽情報対策へのバックラッシュ
政争以外にも国内の問題はいくつもある。たとえばSNSプラットフォームへの優遇措置であり、それらを通じて世界各国に甚大な被害をもたらしていることだ。現在、アメリカではSNSプラットフォームへの批判が続いているが、世界中に甚大な被害をもたらしているサービスは中断されることなく継続している。インドはフェイスブックの無料インターネットサービスを自国内から排除したし、アメリカ自身もTikTokを排除しようとしている。もし、被害が深刻であるなら打つ手はいくらでもある。
アメリカで起きている偽情報対策へのバックラッシュは、単純にカルト化した共和党が大統領選をにらんで過激な活動に走っているだけではない。根本的にアメリカでは政策レベルで効果のある偽情報対策を立案実施できない状況に陥っていることを示している。現在できるのは政争に効果のある偽情報他作だけなのだ。
誤った方向に進む欧米の偽情報対策
イギリスではオンライン安全法が議論されている。世界各国において政治と法律の場で偽情報対策が議論され、新しい制度や組織が確立されてゆくだろう。しかし、おそらくそのどれもが本質的には対症療法であり、問題を解決することはないだろう。特に問題なのは政策だ。
窃盗を公正に罰し、社会の秩序を守るのは司法の役割だが、窃盗にいたった原因を明らかにし教育や福祉によって犯罪の発生そのものを抑止するのは政治の役割だ。現状の偽情報対策において後者には全く手が付けられていない。後者がそのままであれば、今回の共和党による偽情報対策への攻撃のように問題は形を変えて発生し続ける。
偽情報や陰謀論がはびこる大きな原因は格差であると以前書いた。政治、経済、文化的に不可視化された低所得層の人々の反発であり、現状の社会に対するNOの提示なのだ。しかし、格差が政治的選択の結果である以上、格差があることを認め、是正することは困難である。その結果、対症療法に留まり、政争の材料にしかならない提案しか出てこないことになる。日本政府が同じ轍を踏まないことを祈りたい。今のところ、轍どころか川ができるくらい深い溝を作りそうな勢いを感じるのだが。
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