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ファクトチェックの老舗Snopesの剽窃事件の裏にある問題
ファクトチェックサイトに陰謀論サイトへ誘導する広告を配信
ファクトチェックサイトSnopesが広告配信サービスを利用して収入を得ていたことは前段で紹介した。そこに配信される広告がデマや陰謀論サイトへ誘導する広告だったらどうなるだろう?
The New York Timesによると、グーグルはPolitifactやSnopesといったファクトチェックのサイトに、デマや陰謀論サイトへ誘導する広告を配信していた。中には以前Snopesがファクトチェックで否定した説を掲載していたサイトの広告もあった。
アクセスを稼ぐという意味ではグーグルの広告配信は間違っていないのかもしれない。大手ファクトチェックだからといって信用せず、複数のサイトで事実確認し、クリティカルシンキングを行う人、つまりファクトチェックサイトをよく利用するような人には、「この広告の話はSnopesでは否定されていたけど、他のサイトも見ておくべきか」と思ってくれる可能性があるので引きが強い広告になりうる。誘導された先のサイトを信じてしまう人も一定の割合でいるだろう。リテラシーのバックファイア(「フェイクニュース対策としてのメディア・リテラシーの危険性 データ&ソサイエティ研究所創始者&代表のdanah boyd氏のスピーチ「You Think You Want Media Literacy... Do You?」の紹介」という現象だ。
デマと陰謀論がもたらす利益はファクトチェックより優先される
以前の記事、「コロナ禍によって拡大した、デマ・陰謀論コンテンツ市場」に書いたように、コロナ禍でデマや陰謀論の市場は拡大した。そのための広告やシステムを提供してきたのはグーグルを始めとするSNS企業などなのだ。特にデジタル広告の巨人であるフェイスブックとグーグルの責任は重い。2020年の段階で2社を合わせるとアメリカの広告市場の半分以上を占めている。
ファクトチェックと広告ビジネスの優先度を考えれば後者の方が高いのは当然だろう。むしろ後者の妨げにならないように、ファクトチェックを利用している可能性がある。実際、すでに紹介したようにフェイスブックは顧客との関係を維持するために保守派の投稿がファクトチェックでラベルを貼られたり、ペナルティを受けないようにしていた。それはつまり、デマや陰謀論がもたらす利益はファクトチェックより優先するということだ。
ファクトチェック機関の収入源は限られており、Snopesのように資金難に苦しんでいる団体もある。フェイスブックやグーグルはそこに甘い餌を撒いている。リテラシー教育まで手を伸ばすグーグルを見ていると、自社に都合のよいリテラシーやファクトチェックのあり方を醸成している心配すらわいてくる。
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