ビジネスか、国際秩序か──「台湾海峡危機」が日本に突き付けたものとは?
中国は今回、日本の排他的経済水域(EEZ)にもミサイルを発射した。これは日本への警告以外の何物でもない。アメリカおよび台湾の側に付くな、というわけだ。
もし紛争に巻き込まれれば、人命の面でも経済の面でも甚大な損害を被りかねない。日本やほかのアジア諸国は、中国との対立を避けることにより、巨大な中国市場でビジネスを行うこともできるだろう。
しかし、この場合、中国が一方的に国際秩序を変更しても、アジア諸国は通商問題や領土問題で中国の意向に従わなくてはならなくなる。時には、自国内の物事でも中国の意向を無視できなくなる。
要するにこの選択は、中国市場でのビジネスの機会と引き換えに中国に従属することを意味する。平和と協力という美辞麗句で飾ってもその本質は変わらない。これは、近隣諸国が中国に従属する「冊封体制」の現代版にほかならないのだ。
それに対し、軍事面も含めて台湾を支援すればルールを重んじる国際秩序を守ることができる。それにより、日本の独立と自由と民主主義を守り、さらにはアジアが恐ろしい戦争の舞台になる可能性も減らせる。
悲しい現実だが、政治の原則は昔も今も変わってない。「平和を望むのであれば、戦争に備えなくてはならない」のだ。
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