五輪に投影された日本人の不安は、どこから来たものだったのか
そんな世界に生きる個人は、何もかも無意味だという結論に至るのではないか。
日本のあらゆる場所のあらゆる個人が何をすべきかと悩み、「正しい」答えがないことを恐れ、独りきりで運命に対峙するハムレットになっている。
この問題は、現代主義や文化的喪失、日本国内の話にとどまらない。現代社会はどこも、無限に続く社会的変革や勝ち誇る不確実性、個人の孤立を自らの一部にしようと苦闘している。
だが現代主義に伴う不安は、個人でも、暴力でも解決できない。心理学者の研究によれば、活発な対人関係を結ぶ人は社会的に孤立した人より幸福度が高い。複数の他者と日常を分かち合う行為は、強い帰属意識や目的意識を生み出すのだ。
日本には、さまざまな文化的特性が混合した固有の歴史がある。原爆体験や福島第一原発事故、台頭する島国、個人重視の欧米的思考と調和を重んじる日本的概念の対立――。
しかし、現代日本の社会不安や疑念は普遍的なものだ。現代的な生活は700年前から、そんな困惑に満ちあふれていた。
東京五輪で露呈した不安は、パンデミックに端を発したものでも、現代日本に固有のものでもなかった。
「自分たちの庭を耕さなければ」。18世紀の啓蒙思想家ボルテールは探求と疑念、苦闘の末にそう記した。
日本(と人類全体)が陥った悲観主義を解決する道は庭のフェンスの向こうの隣人、家族や友達とささやかな出来事を共有することにある。
(※巨大スポーツイベントの未来、ゼロリスク信奉の是非、「傲慢」と「卑屈」が残した教訓......本誌9月14日号「五輪後の日本」特集では、いくつもの側面から東京五輪を振り返る)

アマゾンに飛びます
2025年5月6日/13日号(4月30日発売)は「英語で学ぶ 国際ニュース超入門」特集。トランプ2.0/関税大戦争/ウクライナ和平/中国・台湾有事/北朝鮮/韓国新大統領……etc.
※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら
アメリカ版文化大革命? トランプのエリート大学たたきは独裁への道 2025.04.24
次期大統領候補だったルペンが有罪に、ここから始まるフランス政界大混迷 2025.04.09
トランプの「残酷で危うい国際システム」が始まる 2025.03.29
日本の石破首相がトランプに主張すべきこと 2025.03.12
トランプ政権がもくろむCIAの大リストラ、次に起きることは? 2025.02.26
トランプが命じた「出生地主義の廃止」には、思わぬ悪影響が潜んでいる 2025.01.31
-
外資系顧客向けシステムエンジニア/システムインテグレータ・ソフトハウス
株式会社リファルケ
- 東京都
- 年収450万円~1,260万円
- 正社員
-
「カスタマーサクセス~外資系企業を中心に採用の支援~」/業界未経験OK/留学・海外生活経験、外国籍など活躍中
株式会社キャリアクロス
- 東京都
- 年収400万円~500万円
- 正社員
-
「外資系」ITヘルプデスク「英語:中級以上」/ITコンサルティング
エイラシステム株式会社
- 東京都
- 年収400万円~650万円
- 正社員 / 契約社員
-
Sales Admin Leader/バックオフィス全体の運営を支えるポジション 米国本社・外資系/リモートワーク可
ビデオジェット・エックスライト株式会社
- 東京都
- 年収600万円~800万円
- 正社員