コラム

「黄色いベスト」が求めるフランス第2の「革命」

2018年12月18日(火)15時00分

フランスは昔、「自由・平等・博愛」を理念とする共和国でした が、 もっとシンプルに今のフランス人に求めたいのは民族間のチームワークかもしれません。 フランスの元首相マヌエル・ヴァルスがバルセロナ知事選挙に立候補したことは、まさにEUの国境を越えた政治統合の可能性を表しています 。

「黄色いベスト」のデモ隊は第二のフランス革命を起こそうとでもいうかのように勢いよく上京し、マクロンの首を要求したけれど、マクロン大統領夫妻はルイ16世とマリー・アントワネットほど現実離れな生活をしているわけでもなければ、無能でもありません。

しかしマクロン大統領も、いつまでも象牙の塔(エリゼ宮)に住み、パリの知識人とばかり付き合っていたら、いずれ国民の信頼を失うのというのは本当です。「黄色いベスト」を着た人々は、党派を問わず、 年齢も問わず、エリート階級が持っている特権に飽きているのです。フランス革命の時代のような貴族狩りは必要ありませんが、フランスのエリートにはもっと透明感が必要です。

何より、地方分権化が不可欠です。18世紀は国民が上京し、革命を起こしたのですが、21世紀はパリのエリートが国民のいる地方に移住しなければなりません。いつかドイツのように、フランスの政府機関や大企業がボルドーやリヨンに引っ越し、エリゼ宮(大統領官邸)もマルセイユあたりでいいのです!

象徴的な改革の目標があれば、全フランス人が同じ目標に向かって団結できます。そしてそれは、パリと地方の格差が少ない 「新しいフランス」を作ることです。


プロフィール

フローラン・ダバディ

1974年、パリ生まれ。1998年、映画雑誌『プレミア』の編集者として来日。'99~'02年、サッカー日本代表トゥルシエ監督の通訳兼アシスタントを務める。現在はスポーツキャスターやフランス文化イベントの制作に関わる。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

ゼレンスキー氏、米欧の対ロ制裁を歓迎 停戦実現へ圧

ワールド

スイス中銀、9月利下げ見送りは物価・景気見通し踏ま

ビジネス

ハイネケンが新戦略発表、30年まで1桁台半ばの増収

ワールド

ヨルダン川西岸併合はガザ和平計画脅かす、米長官がイ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:脳寿命を延ばす20の習慣
特集:脳寿命を延ばす20の習慣
2025年10月28日号(10/21発売)

高齢者医療専門家の和田秀樹医師が説く――脳の健康を保ち、認知症を予防する日々の行動と心がけ

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 2
    【クイズ】1位は「蚊」...世界で「2番目に」人間を殺している動物は?
  • 3
    【2025年最新版】世界航空戦力TOP3...アメリカ・ロシアに続くのは意外な「あの国」!?
  • 4
    報じられなかった中国人の「美談」
  • 5
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 6
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
  • 7
    汚物をまき散らすトランプに『トップガン』のミュー…
  • 8
    ハーバードで白熱する楽天の社内公用語英語化をめぐ…
  • 9
    国立大卒業生の外資への就職、その背景にある日本の…
  • 10
    今年、記録的な数の「中国の飲食店」が進出した国
  • 1
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 2
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号返上を表明」も消えない生々しすぎる「罪状」
  • 3
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多い県」はどこ?
  • 4
    今年、記録的な数の「中国の飲食店」が進出した国
  • 5
    【クイズ】1位は「蚊」...世界で「2番目に」人間を殺…
  • 6
    本当は「不健康な朝食」だった...専門家が警告する「…
  • 7
    【2025年最新版】世界航空戦力TOP3...アメリカ・ロシ…
  • 8
    日本で外国人から生まれた子どもが過去最多に──人口…
  • 9
    報じられなかった中国人の「美談」
  • 10
    「認知のゆがみ」とは何なのか...あなたはどのタイプ…
  • 1
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になりやすい人」が持ち歩く5つのアイテム
  • 2
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 3
    「大谷翔平の唯一の欠点は...」ドジャース・ロバーツ監督が明かすプレーオフ戦略、監督の意外な「日本的な一面」とは?
  • 4
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 5
    増加する「子どもを外注」する親たち...ネオ・ネグレ…
  • 6
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 7
    バフェット指数が異常値──アメリカ株に「数世代で最…
  • 8
    「日本の高齢化率は世界2位」→ダントツの1位は超意外…
  • 9
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
  • 10
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story