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【HTV-X】7つのキーワードで知る、日本製新型宇宙ステーション補給機の価値 「人類のさらなる可能性切り開く鍵に」
次世代ハイビジョンカメラ(HDTV-EF2)で撮影された新型宇宙ステーション補給機(HTV-X)1号機。ISSのロボットアーム(SSRMS)による把持の様子 画像:JAXA提供
<油井亀美也宇宙飛行士が操作するロボットアームによってISSに結合されたHTV-X1号機。一体どんな機能が「新型」なのか。日本が開発・運用する意義とは? 関係者の想いを紹介しながら、7つのキーワードでその実力や価値を概観する>
10月26日に打ち上げられたJAXA(宇宙航空研究開発機構)開発の新型宇宙ステーション補給機(HTV-X)1号機は、日本時間の30日0時58分頃、ISS(国際宇宙ステーション)に到着しました。
HTV-XはISS滞在中の油井亀美也宇宙飛行士が操作するロボットアームで優しく素早く正確に把持(キャプチャ)されました。その後、「ハーモニー」(第2結合部)へ取り付けられられ、同日20時10分頃に結合作業が完了。23時過ぎに油井さんらISS長期滞在クルーが入室しました。
HTV-Xはどんな機能が「新型」なのでしょうか。今後の宇宙開発においてどのような期待がされているのでしょうか。関係者の想いも紹介しながら、7つのキーワードで概観しましょう。
1.HTV-Xはここがすごい
HTV-Xは2009~20年まで運用されていた「こうのとり(宇宙ステーション補給機:HTV)」の後継機として開発された、ISSへ実験機材や宇宙飛行士用の食料や水などを届ける無人の物資輸送機だ。
「こうのとり」と比べて、①貨物の搭載能力や運用性が向上し、②宇宙に行く機会を活用して、輸送だけでなく将来を見据えた様々な技術実証を行う点で進化している。
HTV-Xの貨物の搭載能力は質量約5.85トン(「こうのとり」は約4トン)、容積は78立方メートル(同49立方メートル)で、いずれも1.5倍ほど向上している。また、物資の搭載は打ち上げの24時間前(同80時間前)までできるようになり、カーゴへの電源供給で電源が必要な実験装置への対応も可能となったため、利便性が高まった。
さらにプロジェクトマネージャの伊藤徳政さんが「二刀流」と呼ぶように、物資輸送だけでなく、宇宙での様々な実験に使われることも大きな魅力だ。

たとえば、将来の国際的な宇宙探査にHTV-X発展型で対応できるよう、ISSとの自動ドッキングの技術検証も行う予定だ。これは月周回軌道への設置が計画されている有人拠点(Gateway)では、人がいない期間のほうが圧倒的に長いと想定されるため、補給機は人に頼らない自動ドッキング技術が必須となるからだ。
加えて、HTV-XはISS離脱後も最長1.5年間にわたって単体で飛行が可能なことから、物資補給後に宇宙空間で技術実証ミッションを行えるように設計され、そのための実験装置や小型衛星も多数搭載している。
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