EU、農産物輸入規制強化で暫定合意 メルコスルFTA批准に向け
写真はブラジル南部サンシェレでトウモロコシを収穫する農家。2008年2月撮影。REUTERS/Inae Riveras
Philip Blenkinsop
[ブリュッセル 17日 ロイター] - 欧州連合(EU)は17日、南米南部共同市場(メルコスル)との自由貿易協定(FTA)に関し、一部加盟国が懸念している農産物輸入への影響軽減に向け、規制を強化することで暫定合意した。議長国のデンマークは、農産品の一部に対するセーフガード(緊急輸入制限)措置を発動するトリガー条項を8%に設定することを決めたと発表した。
EUは昨年12月、アルゼンチンとブラジル、パラグアイ、ウルグアイで構成されるメルコスルとともに、関税削減規模でEU史上最大となるFTAの締結で合意した。交渉開始から約25年を要した。
だが、フランスやイタリアなどEU加盟国の一部は、協定を受け入れる準備が整っていないと表明し、自国農家を保護するための追加措置を要求してきた。このため、EU欧州委員会は9月、牛肉や鶏肉、砂糖といった農産物の一部に対するセーフガード措置の追加することを提案した。
調査開始のトリガー条項としては輸入量が年間10%超増加した場合や、EU加盟国の1カ国以上で価格が10%超下落した場合を提案していた。
しかし、欧州議会は今月16日、3年間の平均輸入量を基準にトリガー条項を5%に引き下げることを可決。これを受けて議会とEU理事会の代表者が交渉し、8%に設定することで落ち着いた。
また、メルコスル諸国などでの検査の実施、農家の支援、農薬や動物衛生などの生産基準の順守を要求する措置を明記した宣言を出すことでも合意した。





