コラム

「最後のISS」から帰還...大西卓哉さんに聞いた、宇宙でのリーダー論と「月挑戦」への情熱

2025年10月17日(金)21時25分

──最後になりますが、大西さんが一般向けに宇宙について語るイベントが、11月に筑波と東京であると聞いています。興味がある方に向けてのお誘いの言葉や大西さんの意気込みを聞かせてください。

大西 私が宇宙で経験してきた様々な実験や暮らし、それから宇宙空間のユニークなところなどを、イベントごとに対象を少しずつずらしながら行います。「このイベントは小さなお子様向け」とか「こっちのイベントはどちらかというビジネスパーソン向け」というように、ターゲットの要望に応える形で、イベントをやりたいなと思っています。

ぜひ、今後のJAXAの発信に少し注意を向けていただいて、ご興味のあるイベントがあれば、ぜひお越しください。

──大西さんが体験した宇宙のお話が、いろいろな観点から聞けそうですね。私もイベントでのお話を楽しみにしています。ありがとうございました。


◇ ◇ ◇

大西さんの、今回のミッションコンセプトは「『きぼう』にできる、ぜんぶを」。日本の実験棟「きぼう」を使って、細胞が重力を検知する仕組みを解明して微小重力や寝たきりによる筋萎縮の予防に貢献したり、宇宙環境下の火災における重力の影響を評価したりする実験に取り組みました。

また、JAXAが開発したISS内を飛び回る球形の撮影ロボット「Int-Ball2」については、性能もさることながら「ペットや自分の子供を見守るような感覚になり、精神衛生にプラスの効果があることは地上では想定していなかった。宇宙に動物を連れていくのは難しいので、ロボットが宇宙飛行士の心を支える未来があるといい」と語ります。

このような大西さんならではの宇宙の話が聞ける一般向けイベントは、現在、11月8日(土)と11月14日(日)に予定されています。


(1)JAXA筑波宇宙センター特別公開・大西宇宙飛行士講演
日時:2025年11月8日(土)①10:30~11:15/②11:45~12:30/③13:15~14:00
場所:JAXA筑波宇宙センターW-3 宇宙実験棟2F
※無料、各回400名。事前申込(11月3日まで)、抽選制。詳細は特別公開2025特設ページより。

(2)大西宇宙飛行士ミッション報告会
日時:11月14日(金)19~21時
場所:帝京平成大学池袋キャンパス冲永記念ホール(YouTubeでも配信予定)
※無料、Peatixによる事前申込(当日まで)、先着順。詳細はJAXAのHPより。

大西さんは日頃から「宇宙の様子をみなさんに伝えることは、宇宙に行く機会を与えられたものの使命」と話し、宇宙のリアルを伝える活動に熱心に取り組んでいます。ぜひ聞きにいってみてくださいね。

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記者会見での大西さん(10月3日) 筆者撮影

プロフィール

茜 灯里

作家・科学ジャーナリスト。青山学院大学客員准教授。博士(理学)・獣医師。東京大学理学部地球惑星物理学科、同農学部獣医学専修卒業、東京大学大学院理学系研究科地球惑星科学専攻博士課程修了。朝日新聞記者、大学教員などを経て第24回日本ミステリー文学大賞新人賞を受賞。小説に『馬疫』(2021 年、光文社)、ノンフィクションに『地球にじいろ図鑑』(2023年、化学同人)、ニューズウィーク日本版ウェブの本連載をまとめた『ビジネス教養としての最新科学トピックス』(2023年、集英社インターナショナル)がある。分担執筆に『ニュートリノ』(2003 年、東京大学出版会)、『科学ジャーナリストの手法』(2007 年、化学同人)、『AIとSF2』(2024年、早川書房)など。

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