コラム

2度目の宇宙、日本人3人目のISS船長へ...大西卓哉宇宙飛行士に聞いた、前回フライトとの意識の違い

2025年03月12日(水)21時35分
大西卓哉

NASAケネディ宇宙センターに到着した大西卓哉宇宙飛行士(3月7日、米フロリダ州) Jennifer Briggs/ZUMA Press Wire via REUTERS

<前回は初めてのフライトで「確実性」を重視し、2度目の今回は「マルチタスクにチャレンジしたい」と語る大西さん。宇宙飛行士を目指すきっかけとなった映画『アポロ13』からは、今回のミッションに挑む上でも大きな示唆を得たという>

JAXA宇宙飛行士の大西卓哉さんはISS(国際宇宙ステーション)滞在に向けて、日本時間13日午前8時48分に米フロリダ州からスペースXの宇宙船「クルードラゴン」で打ち上げられる予定です。

※編集部注:13日の打ち上げは延期となりました

大西さんにとって、今回は2016年以来2度目の宇宙飛行・長期滞在となります。約半年間の滞在中は、将来の宇宙開発に向けた火災安全性評価や二酸化炭素除去装置、宇宙環境ががん治療薬に与える影響に関する実験などを行います。さらに、日本人では若田光一さん、星出彰彦さんに続いて3人目となるISSの船長も務めます。


打ち上げ前の米国での会見で、大西さんは「船長としての私の決定に、クルー全員が納得できるようにすることを大切にしたい。たくさんの宇宙日本食を持っていき、クルーとともに楽しみたい」と語りました。

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記者会見での大西宇宙飛行士(写真左)と井上夏彦インクリメントマネージャ(2024年11月27日) 筆者撮影

米国への出発前に大西さんにインタビューをしました。前編となる本記事では、16年の初回宇宙滞在との意識の違いや、宇宙飛行士と地上管制官との連携の大切さについて深堀りします。

◇ ◇ ◇

──今回のミッションに向けた訓練は順調でしたか。ヒヤッとした経験などはありましたか。

大西 細かいところではあります。一方で、訓練といっても特にNASAは安全管理がとても徹底してるので、純粋に身の危険があったというような訓練はさすがにありませんでした。

ただ、訓練の間にはいくつかミスというか、こういうことは気をつけなければいけないなという場面がいっぱいあったので、そこは本当に訓練中に経験しておいてよかったなと思います。

プロフィール

茜 灯里

作家・科学ジャーナリスト/博士(理学)・獣医師。東京生まれ。東京大学理学部地球惑星物理学科、同農学部獣医学専修卒業、東京大学大学院理学系研究科地球惑星科学専攻博士課程修了。朝日新聞記者、大学教員などを経て第 24 回日本ミステリー文学大賞新人賞を受賞。小説に『馬疫』(2021 年、光文社)、ノンフィクションに『地球にじいろ図鑑』(2023年、化学同人)、ニューズウィーク日本版ウェブの本連載をまとめた『ビジネス教養としての最新科学トピックス』(2023年、集英社インターナショナル)がある。分担執筆に『ニュートリノ』(2003 年、東京大学出版会)、『科学ジャーナリストの手法』(2007 年、化学同人)など。

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