コラム

「逆立ちで月面着陸」の原因が判明! 総括会見で明かされたSLIMプロジェクトの最終評価と今後の展望

2024年12月27日(金)21時50分

月面の砂地に逆立ちをしながら踏ん張っているSLIMの姿は、地球で見守る私たちに月を身近に感じさせる、これ以上ないアピールとなりました。さらに、国際連合が今年の「International Moon Day」(月の国際デー:7月20日)に発行した記念切手にも、SLIMが逆立ちしているこの画像は採用されています。

「SLIMの技術や知見や経験をさらにステップアップしていけば、月での縦横無尽な活動も実現できる。火星での活動もいよいよ、本当に少しだが見えてきたと思う」(國中所長)

SLIMで得られた高精度着陸に関する技術や知見は、月着陸を目指す国内の民間業者(ispace社)にも提供する方向で調整しています。惑星科学研究という観点からも、トラブルで予定よりも東に流され姿勢が変わったことが「怪我の巧妙」のように働き、月の成り立ちや進化の謎を解く「カンラン石」が広く分布する場所を分光カメラで捉えることができたと言います。

構想検討開始から20年、プロジェクト発足から8年半を経て得られたSLIMの成果は、この先の宇宙開発と惑星科学の発展に貢献していくでしょう。

プロフィール

茜 灯里

作家・科学ジャーナリスト。青山学院大学客員准教授。博士(理学)・獣医師。東京大学理学部地球惑星物理学科、同農学部獣医学専修卒業、東京大学大学院理学系研究科地球惑星科学専攻博士課程修了。朝日新聞記者、大学教員などを経て第24回日本ミステリー文学大賞新人賞を受賞。小説に『馬疫』(2021 年、光文社)、ノンフィクションに『地球にじいろ図鑑』(2023年、化学同人)、ニューズウィーク日本版ウェブの本連載をまとめた『ビジネス教養としての最新科学トピックス』(2023年、集英社インターナショナル)がある。分担執筆に『ニュートリノ』(2003 年、東京大学出版会)、『科学ジャーナリストの手法』(2007 年、化学同人)、『AIとSF2』(2024年、早川書房)など。

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