Jennifer ‍Rigby Emma Farge

[ロンドン 22日 ロイター] - 米国は22日、世界保健機関(WHO)を正式に脱退した。国内と世界の公衆衛生への打撃が懸念されるほか、2億6000万ドルの分担金支払いを義務付ける米国内法に抵触した状態での離脱となる。

トランプ大統領は2025年の就任初日に大統領令を通じてWHO脱退を通知した。米国内法では、脱退には1年前の通知と未払いの分担金全額の支払いが義務付けられている。

脱退の決定は新型コロナ禍への対応失敗を受けたものだと説明。国務省の報道官は、WHOが情報の統制や管理、共有に失敗したことで米国に数兆ドルの損失をもたらしたと指摘。大統領の権限を行使し、WHOへの資金提供や支援、リソースの移転を停止したと説明した。

同報道官は「米国民はこの組織に対し十分すぎる支払いを行ってきた。これまでの経済的損失は、いかなる財政義務の前払い分もはるかに上回っている」と述べた。

WHOのテドロス事務局長をはじめとする多くの専門家は過去⁠1年、米国に再考を促してきた。テドロス氏は今月の会見で「米国‍が再考し、WHOに復帰することを願っている。脱退は米国にとっても世界にとっても損失だ」と語っていた。

WHOによると、米国は24年と25年分の分担金も支払っていない。報道官はロイターに対し、2月の執行理事会で米国の脱退とその対応につ‍いて協議する予定だと明かした。

ジョージタウン大学オニ‍ール国際保健法研究所の創設ディレクター、ローレンス・‍ゴスティン氏は「これは明確な国内法違反だが、トランプ氏が押し通す可能性は極めて高い」とみる。

米国の脱退により、WHOは深刻な予算危機に直面している。すでに管理部門の体制を半減させ、各部門で予算を削減。全職員の約4分の1を今年半ば⁠までに削減する方針だ。米国は伝統的にWHOにとって最大の資金拠出国で、総予算の約18%を拠出していた。

米国の非営利⁠団体ブルームバーグ・フィランソロピ‍ーズの公衆衛生プログラム責任者ケリー・ヘニング氏は「米国のWHO脱退は、世界が感染症の検知・予防・対応で依存するシステムや協力関係を弱体化させる可能性がある」と述べた。

WHOの活動に資金提供するゲイツ財団のビル・ゲイツ会長は、米国が短期的に再考するとは考えていないと指摘。ただ、引き続き復帰を促していくとし、「世界にはWHOが必要だ」と述べた。

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