ニュース速報
ワールド

WHO、米国が正式脱退 分担金2.6億ドル未払いで財政危機

2026年01月23日(金)10時18分

写真はWHO本部。2020年2月、ジュネーブで撮影。REUTERS/Denis Balibouse

Jennifer ‍Rigby Emma Farge

[ロンドン 22日 ロイター] - ‌米国は22日、世界保健機関(WHO)を正式に脱退した。国内と世界の公衆衛生への打撃が懸念されるほか、2億6000万ドルの分担金‌支払いを義務付ける米国​内法に抵触した状態での離脱となる。

トランプ大統領は2025年の就任初日に大統領令を通じてWHO脱退を通知した。米国内法では、脱退には1年前の通知と未払いの分担金全額の支払いが義務付けられている。

脱退の決定‌は新型コロナ禍への対応失敗を受けたものだと説明。国務省の報道官は、WHOが情報の統制や管理、共有に失敗したことで米国に数兆ドルの損失をもたらしたと指摘。大統領の権限を行使し、WHOへの資金提供や支援、リソースの移転を停止したと説明した。

同報道官は「米国民はこの組織に対し十分すぎる支払いを行ってきた。これまでの経済的損失は、いかなる財政義務の前払い分もはるかに上回っている」と述べた。

WHOのテ​ドロス事務局長をはじめとする多くの専門家は過去⁠1年、米国に再考を促してきた。テドロス氏は今月の会見で「米国‍が再考し、WHOに復帰することを願っている。脱退は米国にとっても世界にとっても損失だ」と語っていた。

WHOによると、米国は24年と25年分の分担金も支払っていない。報道官はロイターに対し、2月の執行理事会で米国の脱退とその対応につ‍いて協議する予定だと明かした。

ジョージタウン大学オニ‍ール国‌際保健法研究所の創設ディレクター、ローレンス・‍ゴスティン氏は「これは明確な国内法違反だが、トランプ氏が押し通す可能性は極めて高い」とみる。

米国の脱退により、WHOは深刻な予算危機に直面している。すでに管理部門の体制を半減させ、各部門で予算を削減。全職員の約4分の1を今年半ば⁠までに削減する方針だ。米国は伝統的にWHOにとって最大の資金拠出国で、総予算の約18%を拠出していた。

米国の非営利⁠団体ブルームバーグ・フィランソロピ‍ーズの公衆衛生プログラム責任者ケリー・ヘニング氏は「米国のWHO脱退は、世界が感染症の検知・予防・対応で依存するシステムや協力関係を弱体​化させる可能性がある」と述べた。

WHOの活動に資金提供するゲイツ財団のビル・ゲイツ会長は、米国が短期的に再考するとは考えていないと指摘。ただ、引き続き復帰を促していくとし、「世界にはWHOが必要だ」と述べた。

ロイター
Copyright (C) 2026 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

ロシアによるウクライナの子ども連れ去りは人道犯罪、

ワールド

米ロ・ウクライナの和平協議、トルコで来週にも開催か

ワールド

トランプ氏、イランにホルムズ海峡の機雷撤去要求 米

ビジネス

「物言う株主」アックマン氏のファンド、米国で複合I
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:教養としてのミュージカル入門
特集:教養としてのミュージカル入門
2026年3月17日号(3/10発売)

社会と時代を鮮烈に描き出すミュージカル。意外にポリティカルなエンタメの「魔力」を学ぶ

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 2
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...撮影はパパ
  • 3
    キャサリン皇太子妃、英連邦デー式典に出席...公開された皇太子夫妻の写真が話題に
  • 4
    「一日中見てられる...」元プロゴルファー女性の「目…
  • 5
    40年以上ぶり...イスラエル戦闘機「F-35I」が、イラ…
  • 6
    人間ダンサーを連れて「圧巻のパフォーマンス」...こ…
  • 7
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」…
  • 8
    ホルムズ海峡封鎖、石油危機より怖い「肥料ショック」
  • 9
    身長や外見も審査され、軍隊並みの訓練を受ける...中…
  • 10
    トランプも無視できない? イランで浮上した「危機管…
  • 1
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 2
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...撮影はパパ
  • 3
    イラン猛反撃、同士討ちまで起きる防空戦はいつまで続くのか
  • 4
    【長期戦はイラン有利】米側の体制転覆シナリオに暗…
  • 5
    キャサリン皇太子妃、英連邦デー式典に出席...公開さ…
  • 6
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビ…
  • 7
    サファリ中の女性に悲劇...ライオンに「くわえ去られ…
  • 8
    日本の保護者は自分と同じ「大卒」の教員に敬意を示…
  • 9
    中国はイランを見捨てた? イランの「同盟国」だっ…
  • 10
    中国、4隻目の空母は原子力艦か──世界3番目の原子力…
  • 1
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 2
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を空中爆破...地上から撮影の「レア映像」を公開
  • 3
    台湾侵攻「失敗」の大きすぎる代償
  • 4
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 5
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...…
  • 6
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからく…
  • 7
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医…
  • 8
    「ヘル・コリア」から日本へ7万人 ── 大企業の高給より…
  • 9
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トラン…
  • 10
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中