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1万5千年前、西欧の葬儀では死者が「食べられていた」...その証拠とは?
さらに、ガフ洞窟では人骨とシカやウマなどの動物の骨が混ざった状態で発掘されましたが、頭骨に精密な加工がなされたのは人骨だけであったため、ベロ博士らは死体を処理する際に仲間が「儀式」を行っていた可能性があると考えました。
一方、頭骨以外の部分の骨には、人骨も動物の骨と同様に、肉を刃物で削ぎ取ったり歯で齧ったりしたときの傷や、骨を砕いて骨髄を取り出した形跡がありました。したがって、人間の死体が動物のように食べ物とされていた、つまりカニバリズムが強く示唆されました。さらに動物の骨があったことから、ガフ洞窟の住民は食料不足で人間を食べたのではなく「意味のある行動」として共食いしたことも暗示されました。
葬儀習慣としてのカニバリズムを示す最古の証拠
もっともこの研究では、カニバリズムはガフ洞窟にいた人々だけが行った特殊な行動だったのか、当時のヨーロッパに広く浸透している風習なのかは分かりませんでした。さらに、彼らは仲間を食べていたのか、それとも敵を食べていたのかについても謎が残りました。
今回「Quaternary Science Reviews」に発表された論文で、ベロ博士らは「死者を食べる行為は、後期旧石器時代のヨーロッパで共通の習慣であったのか」について調査しました。
約1万7000年前から約1万1000年前頃の北西ヨーロッパに広く分布していた「マドレーヌ文化」に関連すると考えられる遺跡で、人骨が発掘された59カ所を分析すると、現在のフランス、ドイツ、スペイン、ロシア、イギリス、ベルギー、ポーランド、チェコ共和国、ポルトガルにあたる地域の計25カ所で葬儀を執り行った痕跡が見られ、うち13カ所でカニバリズムが示唆されました。残りのうち10カ所では死者を食べずに埋葬または安置した跡があり、2カ所では埋葬とカニバリズムが混在した痕跡がありました。
ベロ博士らはカニバリズムの根拠として、ガフ洞窟で見られたような頭骨の加工や骨についた傷や歯型を用いました。とくに一部の頭骨には、装飾的なギザギザのカットが施されていたといいます。
博士は「死者の儀式的な操作が北西ヨーロッパ各地のマドレーヌ文化圏で頻繁に観察されることは、カニバリズムがマドレーヌ文化の中で食生活を補うためではなく、葬儀での死体処理の方法として広く普及していることを示唆している」と語っています。また、今回の研究は葬儀習慣としてのカニバリズムを示す最も古い証拠であるといいます。
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