コラム

地球の自転で発電する方法が実証される──「究極のクリーンエネルギー」実用化の可能性は?

2025年04月04日(金)07時10分
地球

(写真はイメージです) Crazy Owl Productions-Shutterstock

<近代科学発展の過程で何度も議論されてきた「自転エネルギー発電」。「電気の父」ファラデーが不可能と結論付けた課題に、現代の科学者たちが新たな光を当てている>

地球温暖化に対する人的影響を食い止め、子孫の代にも豊かな地球環境を伝えていくためには、化石燃料からCO2(二酸化炭素)を排出しない(あるいは排出量が著しく抑えられる)エネルギーへのシフトが不可欠です。

資源エネルギー庁が4月2日に発表した2024年12月の日本の電気事業者の発電電力量(746.4億キロワット時)の内訳は、化石燃料などを使う火力が78.2%、水力が7.0%、原子力が10.9%、太陽光、風力、地熱などによる新エネルギー等が8.3%でした(※)。

※統計上、バイオマス発電及び廃棄物発電は火力と新エネルギー等の両方に計上されているため、合計割合は100%以上となっている。

自然現象を利用したエネルギーの大半は現在「新エネルギー」とよばれていますが、実際は人類が最も古くから利用してきたエネルギーです。とりわけ、CO2排出量が少ないだけでなく常に補充されて枯渇しない「再生可能エネルギー」は、今後ますます重要性を増していくと考えられています。

一方、「太陽光、風などの自然現象だけでなく、地球自身の回転運動(自転)をエネルギー源として活用にできないか」というテーマは、近代科学の発展の中で何度も検討されてきました。

19世紀に活躍した「電気の父」として知られるマイケル・ファラデーは数々の実験をした上で不可能と結論付けましたが、今回、米プリンストン大などによる研究チームは新たな可能性を示唆しました。研究成果はアメリカ物理学会の論文誌「Physical Review Applied」に3月19日付で掲載されました。

「自転エネルギー発電」は実用化の可能性はあるのでしょうか。もし自転エネルギーを使い過ぎた場合、地球の自転が止まって悪影響が起きる恐れはないのでしょうか。概観してみましょう。

プロフィール

茜 灯里

作家・科学ジャーナリスト。青山学院大学客員准教授。博士(理学)・獣医師。東京大学理学部地球惑星物理学科、同農学部獣医学専修卒業、東京大学大学院理学系研究科地球惑星科学専攻博士課程修了。朝日新聞記者、大学教員などを経て第24回日本ミステリー文学大賞新人賞を受賞。小説に『馬疫』(2021 年、光文社)、ノンフィクションに『地球にじいろ図鑑』(2023年、化学同人)、ニューズウィーク日本版ウェブの本連載をまとめた『ビジネス教養としての最新科学トピックス』(2023年、集英社インターナショナル)がある。分担執筆に『ニュートリノ』(2003 年、東京大学出版会)、『科学ジャーナリストの手法』(2007 年、化学同人)、『AIとSF2』(2024年、早川書房)など。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

米、各国のロシア産石油購入を30日間容認 エネ市場

ビジネス

ロンドン、フィンテック拠点で世界首位に=調査

ビジネス

米化石燃料発電、今後2年に拡大へ データセンター急

ワールド

キューバ外相、中ロと個別に電話会談 トランプ氏圧力
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:教養としてのミュージカル入門
特集:教養としてのミュージカル入門
2026年3月17日号(3/10発売)

社会と時代を鮮烈に描き出すミュージカル。意外にポリティカルなエンタメの「魔力」を学ぶ

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」と言われる外国特派員の私が思うこと
  • 2
    職業別の収入に大変動......タクシー運転手・自動車整備は収入増、公認会計士・税理士は収入減
  • 3
    「このままよりはマシだ」――なぜイランで米軍の攻撃に支持が広がるのか
  • 4
    「イラン送りにすべき...」トランプ孫娘、警護隊引き…
  • 5
    世界の視線は中東から日本へ...企業主導で築くインド…
  • 6
    「映画賞の世界は、はっきり言って地獄だ」――ショー…
  • 7
    2万歩でも疲れない? ディズニー・ユニバで足が痛く…
  • 8
    米軍も防ぎきれないイランのドローン攻撃──イラン製…
  • 9
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...…
  • 10
    イランがドバイ国際空港にドローン攻撃...爆発の瞬間…
  • 1
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 2
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...撮影はパパ
  • 3
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」と言われる外国特派員の私が思うこと
  • 4
    「このままよりはマシだ」――なぜイランで米軍の攻撃…
  • 5
    キャサリン皇太子妃、英連邦デー式典に出席...公開さ…
  • 6
    【長期戦はイラン有利】米側の体制転覆シナリオに暗…
  • 7
    職業別の収入に大変動......タクシー運転手・自動車…
  • 8
    日本の保護者は自分と同じ「大卒」の教員に敬意を示…
  • 9
    中国はイランを見捨てた? イランの「同盟国」だっ…
  • 10
    中国、4隻目の空母は原子力艦か──世界3番目の原子力…
  • 1
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 2
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を空中爆破...地上から撮影の「レア映像」を公開
  • 3
    台湾侵攻「失敗」の大きすぎる代償
  • 4
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...…
  • 5
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからく…
  • 6
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医…
  • 7
    「ヘル・コリア」から日本へ7万人 ── 大企業の高給より…
  • 8
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」…
  • 9
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビ…
  • 10
    命は長し、働け女たち――88歳「働くばあさん」が説く…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story