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メキシコの遺跡で、「ハート型に変形させられた」頭蓋骨を発掘...現在も同じ風習が残る地域も

Ancient Human Remains With Heart-Shaped Skulls Discovered

2023年7月29日(土)13時50分
アリストス・ジョージャウ
メキシコのラ・フェレリア考古学地帯の発掘現場

写真はイメージです microgen/iStock

<死者のための空間として建てられたとみられる600〜950年頃の建築群から、人為的に変形されたと思われる成人の骨が見つかった>

メキシコの遺跡で、人為的に「ハート形に変形させられた」とみられる頭蓋骨が発見された。メキシコ国立人類学歴史研究所(INAH)の研究者らは、同国北西部に位置するドゥランゴ州のラ・フェレリア考古学地帯で行った発掘調査で、カサ・コロラダと呼ばれる建築群の中から人骨16体を発見した。

■【動画】メキシコのドゥランゴ州にある遺跡から発見された「ハート形に変形された」頭蓋骨

 
 
 
 
 

広場の床下で発見されたのは、30~40歳前後の成人の遺骨8体と、1〜7歳の子供の遺骨だ。ほとんどは骨の断片だが、成人の3体は保存状態が良かった。

そのうちの2体は、頭蓋を人為的に変形させられたとみられ、ある角度から見るとハートの形に似ているという。

この遺跡でこうした頭蓋骨が発見されるのは初めてだが、頭蓋を人為的に変形させる習慣は、メキシコから中米にかけて繁栄したメソアメリカを含め、世界各地の古代文明で行われていたとみられる。一部の地域では、現在でも行われている。

頭蓋骨を締め付けて特徴的な形にするため、頭を木片で挟んで縛るなど、様々な技法が用いられた。骨が柔軟な乳幼児期に行われるのが一般的だ。

死者のための広大な建造物

INAHによれば、ラ・フェレリアには西暦600〜1350年頃に古代の人々が居住していた。円形の祭祀場、ピラミッド形の建造物、球技場など、考古学的に重要な遺跡が複数残されている。

600〜950年頃のものとみられる建築群は、ラ・フェレリアの上部に位置し、面積は約600平方メートルに上る。広場を囲むように長方形の建造物9棟で構成されている。これまでの発掘調査で、建造物の内部からさまざまな埋葬品が発見されており、死者のための空間だったと研究者らは結論付けている。

ドゥランゴ市から約6キロ南方に位置するこの地帯は、州内で最も重要な遺跡の1つだ。


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