最新記事

ペット

犬は健康長寿の友、新研究

Owning Dog Linked to Living Longer, Lower Risk of Dying of a Heart Problem

2019年10月9日(水)19時20分
カシュミラ・ガンダー

犬を飼っている高齢者は社会的に孤立することが少ない corners74/iStock.

<複数の研究で、犬を飼っている人が早死にする可能性は24%低く、心臓発作後に死亡する確率は65%低いなど、健康長寿にいいことがわかった>

最近の2つの研究によると、犬を飼うことは長寿につながり、心血管系の問題で死亡する可能性が低くなるようだ。

犬を飼うことが健康増進に役立つことを結論付けた最新の研究は、アメリカ心臓協会所属のサーキュレーション誌に掲載された。

スウェーデンのウプサラ大学のトーベ・フォール教授とその研究チームは、スウェーデンの国民医療と犬の飼い主に関するデータベースを使り、2001年から2012年の間に心臓発作または脳卒中を経験した40歳から85歳の患者を特定した。

この期間に心臓発作を起こした患者は18万1696人、脳卒中を起こした患者は15万4617人にのぼり、心臓発作の患者の5.7%と脳卒中の患者の4.8%が犬を飼っていた。

一人暮らしで犬を飼っていた患者は、犬を飼っていない患者と比較して、退院後に死亡する可能性が33%低かった。

人の心を動かす犬の表情


もうひとつの研究はトロント大学のキャロライン・クレイマー博士とそのチームによるもので、犬を飼っている人に関するこれまでの10本の研究結果から、飼い主がなんらかの原因で死ぬ確率を調べてメタ分析を行った。研究対象となった人の数は約3兆8370億0500万人にのぼる。

1950年から2019年5月の間に公開された研究を精査した結果、犬を飼っている人が何らかの原因で早期に死亡する可能性は、犬を飼っていない人よりも24%低いことがわかった。犬を飼っている人は心臓発作後に死亡する確率は65%低く、さらに心血管疾患による死亡の可能性は31%低かった。

社会的、身体的なメリット

獣医で分子疫学の専門家でもあるフォールは、次のようにコメントした。「社会的孤立は、健康状態の悪化や早死にの強い危険因子であることがわかっている。これまでの研究は、犬を飼っている人は社会的に孤立する危険が低く、他の人と交流する機会が多いことを示していた」

「さらに、犬を飼うことによって身体を動かす機会が増える。それはリハビリテーションの点でも、心の健康を保つ上でも重要な要素になる」と、彼女は言う。

トロント大学のクレイマー博士は自身の研究について「以前の報告では、犬を飼うことは運動量の増加、血圧の低下、コレステロール値の改善に関連していた」と述べた。「よって、犬を飼っている人の方が長生きし、心血管系の病気による死のリスクも低い。ある程度予想されていた結論だ」

<参考記事>女性のベッドのお供は......人間ではなく犬がベスト!?
<参考記事>犬連れ参拝客に人気の神社が「ペット連れ禁止」の苦渋の決断

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米EV税控除、一部重要鉱物要件の導入2年延期

ワールド

S&P、トルコの格付け「B+」に引き上げ 政策の連

ビジネス

ドットチャート改善必要、市場との対話に不十分=シカ

ビジネス

NY連銀総裁、2%物価目標「極めて重要」 サマーズ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受ける瞬間の映像...クラスター弾炸裂で「逃げ場なし」の恐怖

  • 2

    屋外に集合したロシア兵たちを「狙い撃ち」...HIMARS攻撃「直撃の瞬間」映像をウクライナ側が公開

  • 3

    ウクライナ軍ブラッドレー歩兵戦闘車の強力な射撃を受け、炎上・爆発するロシア軍T-90M戦車...映像を公開

  • 4

    テイラー・スウィフトの大胆「肌見せ」ドレス写真...…

  • 5

    サプリ常用は要注意、健康的な睡眠を助ける「就寝前…

  • 6

    ロシア軍「Mi8ヘリコプター」にウクライナ軍HIMARSが…

  • 7

    ロシア軍の拠点に、ウクライナ軍FPVドローンが突入..…

  • 8

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 9

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミ…

  • 10

    「TSMC創業者」モリス・チャンが、IBM工場の買収を視…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドローンを「空対空ミサイルで撃墜」の瞬間映像が拡散

  • 3

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる4択クイズ

  • 4

    AIパイロットvs人間パイロット...F-16戦闘機で行われ…

  • 5

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…

  • 6

    「2枚の衛星画像」が伝える、ドローン攻撃を受けたロ…

  • 7

    屋外に集合したロシア兵たちを「狙い撃ち」...HIMARS…

  • 8

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 9

    ロシアの大規模ウクライナ空爆にNATO軍戦闘機が一斉…

  • 10

    メーガン妃の「限定いちごジャム」を贈られた「問題…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 4

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 5

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 6

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 7

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 8

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 9

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 10

    NASAが月面を横切るUFOのような写真を公開、その正体…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中