最新記事

労働

24時間営業問題で揺れるセブン-イレブン、既存店支援強化 AI店舗競争激化へ

2019年4月5日(金)11時47分

コンビニエンスストア最大手・セブン─イレブン・ジャパン(東京都千代田区)が揺れている。人手不足を理由に24時間営業の見直しを求めたフランチャイズ加盟店の反乱が社長交代にまで発展した。都内の。セブン─イレブンの店舗で2017年12月撮影(2019年 ロイター/Toru Hanai)

コンビニエンスストア最大手・セブン─イレブン・ジャパン(東京都千代田区)が揺れている。人手不足を理由に24時間営業の見直しを求めたフランチャイズ加盟店の反乱が社長交代にまで発展した。この交代はAI(人工知能)を駆使した省力化システムの導入競争へと向かうきっかけとなるのか。

永松文彦次期社長は、「登板」直後から真価を問われそうだ。

既存店支援強化

「19年度は出店を850店。前年より500店以上抑制する」──。セブン─イレブンの親会社セブン&アイ・ホールディングスの井阪隆一社長は4日の会見でこう述べ、今年度は出店を抑制し、既存店投資を強化する方針を示した。

セブン─イレブンの過去3年間の出店は、16年度が1682店、17年度が1554店、18年度が1389店。これを見ると、今年度計画の850店がいかに異例な数字であるかがわかる。同社はこれまで年間総投資額の6割を出店に充ててきたが、今後は既存店投資に重点を置き、今年度は6割強を既存店投資に振り向ける方針だ。

同社が既存店支援を強化する背景には、加盟店オーナーの不満をかわす狙いもある。人手不足や人件費の上昇でオーナーは悲鳴を上げており、それが時短要求になって表れた。

加盟店は、売上高から商品の仕入原価を差し引いた粗利益の一定割合(チャージ)を本部に支払う契約となっている。加盟店は残った利益から人件費をねん出しなければならないため、人件費の上昇は店舗の収益悪化に直結する。

これに対して、本部は人件費上昇のダメージを受けないことから、オーナーの中には「共存共栄とは名ばかり」と不満がくすぶっている。

井阪社長は「チャージの減額は考えていない」としながらも、既存店支援を強化することで「加盟店も成長の糧を感じてもらえる出店政策をしていく」と語った。今年は「意志のある踊り場にしたい」という。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

為替、従来より物価に影響しやすいリスクを意識=植田

ビジネス

テスラ、独工場操業を1日停止 地元は工場拡張に反対

ワールド

イランとの核問題協議、IAEA事務局長が早期合意に

ワールド

インド総選挙、3回目の投票実施 モディ首相の出身地
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:岸田のホンネ
特集:岸田のホンネ
2024年5月14日号(5/ 8発売)

金正恩会談、台湾有事、円安・インフレの出口......岸田首相がニューズウィーク単独取材で語った「次の日本」

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地ジャンプスーツ」が話題に

  • 2

    「自然は残酷だ...」動物園でクマがカモの親子を捕食...止めようと叫ぶ子どもたち

  • 3

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国の研究チームが開発した「第3のダイヤモンド合成法」の意義とは?

  • 4

    「真の脅威」は中国の大きすぎる「その野心」

  • 5

    デモを強制排除した米名門コロンビア大学の無分別...…

  • 6

    いま買うべきは日本株か、アメリカ株か? 4つの「グ…

  • 7

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…

  • 8

    外国人労働者がいないと経済が回らないのだが......…

  • 9

    中国軍機がオーストラリア軍ヘリを妨害 豪国防相「…

  • 10

    翼が生えた「天使」のような形に、トゲだらけの体表.…

  • 1

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受ける瞬間の映像...クラスター弾炸裂で「逃げ場なし」の恐怖

  • 2

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国の研究チームが開発した「第3のダイヤモンド合成法」の意義とは?

  • 3

    「2枚の衛星画像」が伝える、ドローン攻撃を受けたロシア空軍基地の被害規模

  • 4

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミ…

  • 5

    屋外に集合したロシア兵たちを「狙い撃ち」...HIMARS…

  • 6

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地…

  • 7

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる…

  • 8

    ロシアの大規模ウクライナ空爆にNATO軍戦闘機が一斉…

  • 9

    ロシア軍の拠点に、ウクライナ軍FPVドローンが突入..…

  • 10

    外国人労働者がいないと経済が回らないのだが......…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 4

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 5

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 6

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 7

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 8

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 9

    NASAが月面を横切るUFOのような写真を公開、その正体…

  • 10

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中