コラム

「暴言トランプ」の正体は、タカ派に見せかけた孤立主義

2016年02月16日(火)17時30分
「暴言トランプ」の正体は、タカ派に見せかけた孤立主義

予備選スタートのアイオワでこそこけたが、依然としてトランプの支持率は共和党トップを維持している Rainier Ehrhardt-REUTERS

 米大統領選の予備選は、今週20日に民主党のネバダ州党員集会と共和党のサウスカロライナ州予備選が実施されます。どちらも注目されますが、特にサウスカロライナの共和党予備選は「初めて南部で行われる」今回の結果が、これからの選挙戦の流れを見通す上で重要な指標になります。

 問題は、ドナルド・トランプ候補の勢いがどうなるかです。アイオワ州では、予想ほど票が伸びずに「失速か?」と言われたものの、ニューハンプシャー州では大差で1位を取って勢い付いています。ですが、南部の「草の根保守」あるいは「宗教保守派」の票をどこまで取れるかは、未知数です。

 依然としてトランプは、全国の世論調査で「共和党トップ」の支持率をキープしていますし、注目のサウスカロライナでもトップの数字が出ています。では、選挙戦を通じてやってきた「暴言パフォーマンス」はどうかというと、これがまったく止まっていないのです。

【参考記事】<ニューハンプシャー州予備選>左右のポピュリストを勝たせた米政界への怒り

 例えばニューハンプシャーで勝った翌日の今月10日にCBSの朝の情報番組 「This Morning」 に出演した際には、ちょうど北朝鮮のミサイル発射の直後だったこともあって、いきなり「北の指導者を亡き者にする」などと口走っていました。

 アイオワの直前に実施されたテレビ討論は、司会者が気に入らないという理由でボイコットしていますが、それで票を失ったことを自分でも認めていました。またサウスカロライナの予備選へ向けて先週13日に開かれたCBS主催のテレビ討論には参加しましたが、ここでも「暴言」を連発していました。

 先週の討論会では、特にジェブ・ブッシュ候補をターゲットにして、兄のジョージ・W・ブッシュ前大統領を徹底的に攻撃したのです。トランプは「9.11(同時多発)テロはブッシュ時代に起きた」という攻撃を以前から「持ちネタ」にしているのですが、今回あらためてこの「ネタ」を取り上げました。

 ジェブ・ブッシュは「仮に9.11テロが起きた時の大統領がアル・ゴアだったら、国を守れただろうか?」と反撃し、さらに「そもそもビル・クリントンが、オサマ・ビンラディンを殺すチャンスを逃したのが元凶だ」と抗弁しました。これに対してトランプは「ブッシュだって、ビンラディンを殺せたのに殺さなかった」とやり返し、暴言はエスカレートしていったのです。

プロフィール

冷泉彰彦

(れいぜい あきひこ)ニュージャージー州在住。作家・ジャーナリスト。プリンストン日本語学校高等部主任。1959年東京生まれ。東京大学文学部卒業。コロンビア大学大学院修士(日本語教授法)。福武書店(現ベネッセコーポレーション)勤務を経て93年に渡米。近著に『アイビーリーグの入り方 アメリカ大学入試の知られざる実態と名門大学の合格基準』(CCCメディアハウス)、『アメリカモデルの終焉』(東洋経済新報社)など。メールマガジンJMM(村上龍編集長)で「FROM911、USAレポート」(www.jmm.co.jp/)を連載中。週刊メルマガ(有料)「冷泉彰彦のプリンストン通信」配信中。

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