コラム

コロナ禍で失墜のプーチンに「抵抗力」あり

2020年05月27日(水)11時00分

つまり、危機のときには指導者の周りに結集するという、どの国にも見られる現象がロシアにも起きている可能性がある。

ロシア人は危機に慣れている。野党勢力は非力な上にばらばら。中央に反旗を翻すガッツのある知事もいない。権力側にもプーチンに代わり得る人材はまだ見えない。3月上旬の原油価格暴落で、石油・天然ガスに依存したロシア経済はどうなるかと思ったが、ロシアのウラル原油価格はその後1バレル=約30㌦の水準まで戻っている。

それでも、プーチンのロシアをその実力以上に畏怖する必要はもうないだろう。世界の石油メジャーが、利益率が下がる一方の石油に見切りをつけて水素など新たなエネルギー源に乗り換えれば、プーチン王朝も命運が尽きる。その日は、意外に早いのかもしれない。

<2020年5月26日号掲載>

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プロフィール

河東哲夫

(かわとう・あきお)外交アナリスト。
外交官としてロシア公使、ウズベキスタン大使などを歴任。メールマガジン『文明の万華鏡』を主宰。著書に『米・中・ロシア 虚像に怯えるな』(草思社)など。最新刊は『日本がウクライナになる日』(CCCメディアハウス)  <筆者の過去記事一覧はこちら

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