コラム

2年乗った車が購入時よりも高く売れるアメリカ、限度を超えたインフレの行方

2022年06月28日(火)13時43分

FRBのアナリストは、「失業率とインフレ率は景気後退リスクのより重要な先行指標」だと指摘。その上で、「今後2年間で失業率の大幅上昇のリスクが約67%ある」と分析している。

FRBは失業率の上昇を景気後退の主要指標と位置付けている。つまり、2対1の割合で今後2年間に米経済が景気後退に陥るリスクがあると考えていることになる。

FRBは景気後退を覚悟か

一方、CBOは米経済についてはるかに楽観的だ。彼らの予測では、アメリカのGDPは22年に3.1%、23年に2.2%、24年に1.5%成長し、インフレ率は22年全体で4.7%、23年は2.7%、24年には2.3%と低下する。

さらに失業率は24年まで「完全雇用」水準の3.8%にとどまると予測。FRBは景気後退を招くことなくインフレを抑制し、利上げを大方の予想より低く抑えられる可能性が高いと指摘している。

私はFRBとCBOの両方を高く評価しているが、個人的には失業率の上昇が景気後退の重要指標になるという見解に賛成だ。一般国民にとっては、失業率が上昇する一方でGDPが成長し続けることよりも、仕事があるかないかのほうが重要だ(人工知能とオペレーションの省力化が世界に浸透するにつれ、労働者の失業リスクは高まっている)。

私もFRBと同様、今後1年半~2年間に景気後退が起こる可能性を67%と予測している。これは大学院で学んだオーソドックスな経済分析に基づく判断だ。

まずパンデミックによる都市封鎖の経済的負担を軽減するために、次いでバイデン政権の歴史的な大型インフラ関連予算によって、巨額の資本注入が行われた。その後、供給制約や需要増、労働力不足によりインフレ率が上昇し、インフレ圧力緩和のために急激な金利引き上げが実施された。一連の動きは、大幅な金利上昇から18~24カ月後に景気後退が始まることを示唆するものだ。

私は自分が間違っていることを願う。86歳の義母は半年以上前から、お買い得品を探して近所の食料品店に通いながら警告のサインに気付いていたのだが。

プロフィール

グレン・カール

GLENN CARLE 元CIA諜報員。約20年間にわたり世界各地での諜報・工作活動に関わり、後に米国家情報会議情報分析次官として米政府のテロ分析責任者を務めた

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

ECB、物価目標達成に自信 ノイズとシグナルの区別

ワールド

中国、EU産豚肉の反ダンピング調査開始 貿易摩擦激

ワールド

イスラエル首相、戦時内閣を解散

ワールド

プーチン氏、19日からベトナム訪問 武器や決済など
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:姿なき侵略者 中国
特集:姿なき侵略者 中国
2024年6月18日号(6/11発売)

アメリカの「裏庭」カリブ海のリゾート地やニューヨークで影響力工作を拡大する中国の深謀遠慮

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    この「自爆ドローンでロシア軍撃破の瞬間」映像が「珍しい」とされる理由

  • 2

    ニシキヘビの体内に行方不明の女性...「腹を切開するシーン」が公開される インドネシア

  • 3

    FRBの利下げ開始は後ずれしない~円安局面は終焉へ~

  • 4

    顔も服も「若かりし頃のマドンナ」そのもの...マドン…

  • 5

    森に潜んだロシア部隊を発見、HIMARS精密攻撃で大爆…

  • 6

    水上スキーに巨大サメが繰り返し「体当たり」の恐怖…

  • 7

    なぜ日本語は漢字を捨てなかったのか?...『万葉集』…

  • 8

    中国経済がはまる「日本型デフレ」の泥沼...消費心理…

  • 9

    米フロリダ州で「サメの襲撃が相次ぎ」15歳少女ら3名…

  • 10

    米モデル、娘との水着ツーショット写真が「性的すぎ…

  • 1

    ニシキヘビの体内に行方不明の女性...「腹を切開するシーン」が公開される インドネシア

  • 2

    接近戦で「蜂の巣状態」に...ブラッドレー歩兵戦闘車の猛攻で、ロシア兵が装甲車から「転げ落ちる」瞬間

  • 3

    早期定年を迎える自衛官「まだまだやれると思っていた...」55歳退官で年収750万円が200万円に激減の現実

  • 4

    米フロリダ州で「サメの襲撃が相次ぎ」15歳少女ら3名…

  • 5

    毎日1分間「体幹をしぼるだけ」で、脂肪を燃やして「…

  • 6

    この「自爆ドローンでロシア軍撃破の瞬間」映像が「…

  • 7

    カカオに新たな可能性、血糖値の上昇を抑える「チョ…

  • 8

    「クマvsワニ」を川で激撮...衝撃の対決シーンも一瞬…

  • 9

    認知症の予防や脳の老化防止に効果的な食材は何か...…

  • 10

    堅い「甲羅」がご自慢のロシア亀戦車...兵士の「うっ…

  • 1

    ラスベガスで目撃された「宇宙人」の正体とは? 驚愕の映像が話題に

  • 2

    半裸でハマスに連れ去られた女性は骸骨で発見された──イスラエル人人質

  • 3

    ニシキヘビの体内に行方不明の女性...「腹を切開するシーン」が公開される インドネシア

  • 4

    ウクライナ水上ドローンが、ヘリからの機銃掃射を「…

  • 5

    「世界最年少の王妃」ブータンのジェツン・ペマ王妃が…

  • 6

    接近戦で「蜂の巣状態」に...ブラッドレー歩兵戦闘車…

  • 7

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々…

  • 8

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃の「マタニティ姿」が美しす…

  • 9

    早期定年を迎える自衛官「まだまだやれると思ってい…

  • 10

    ロシアの「亀戦車」、次々と地雷を踏んで「連続爆発…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story