コラム

瞑想4カ月で7割の人が悟りの領域に!?(TransTech Conferenceから)

2019年02月07日(木)18時00分

瞑想方法は人それぞれ。水泳、サーフィンも効果があるかもしれない Jacob Ammentorp Lund/iStock.

エクサウィザーズ AI新聞から転載


恐れが少なく「どんなことがあっても自分は大丈夫だ」という基本的幸福感(fundamental well being)を保つということは、どういう状態なのだろうか。米ソフィア大学のJeffery A. Martin教授が、悟っている人、基本的幸福感を持っている人を2500人以上調査した結果、前回の記事に書いたように、悟り(心理学用語では「継続的非記号経験=PNSE」)に達した人には共通の体験があり、悟りには一定の継続的な段階があることが分かった。同教授はまた、PNSEに入る前と入った後の変化を調べるために、オンラインの瞑想プログラムを開発。同プログラム受講者の7割が4カ月でPNSEに入ることができたという調査結果を発表している。悟りはごく少数の修行者だけが到達することのできる境地と思われがちだが、同教授は「自分に合った瞑想方法とさえ出会うことができれば、ほとんどの人が短期間にPNSEに入ることができる」と語っている

「継続的幸福感」が悟りへの入り口

前回の記事を読んでいない人にとっては、ほとんどの人が悟りに入れるという話は、にわかに信じがたいことだろう。一般的な日本人がイメージする「悟り」とは、我欲の一切ない仙人のような人も心の状態なのかもしれない。しかし前回の記事にあるように、仙人のような境地はPNSE(「悟り」を意味する心理学用語「継続的非記号経験」)の4段階目以降。最初の3段階は、いわゆる人間らしさが残っている段階だ。

ではPNSEに入っている人と、入っていない人では何が違うのか。根本的に違うのが、心の奥底にある感覚。PNSEに入っていない人の心の根底には「欠乏感」「恐れ」があり、入っている人には「常に満たされた感覚」「根本的幸福感」があるのだ、と同教授は指摘する。

ここで重要なのが「常に」という表現。人生は山あり谷あり。でもたとえ悲しい出来事が起ころうとも、心の奥底には静かな幸福感が流れていて、他人や運命を責めることはない。そういう幸福感が「根本的幸福感」であり、そういった幸福感を常に持つには、雑念が少なく心が澄み渡っている状態でなければならない。PNSEに入った人に共通する体験として、「雑念が大幅に少なくなる」というものがあるが、雑念のない心静かな状態だからこそ、心の奥底にある幸福感を味わうことができるのだろう。

プロフィール

湯川鶴章

AI新聞編集長。米カリフォルニア州立大学サンフランシスコ校経済学部卒業。サンフランシスコの地元紙記者を経て、時事通信社米国法人に入社。シリコンバレーの黎明期から米国のハイテク産業を中心に取材を続ける。通算20年間の米国生活を終え2000年5月に帰国。時事通信編集委員を経て2010年独立。2017年12月から現職。主な著書に『人工知能、ロボット、人の心。』(2015年)、『次世代マーケティングプラットフォーム』(2007年)、『ネットは新聞を殺すのか』(2003年)などがある。趣味はヨガと瞑想。妻が美人なのが自慢。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

スイス中銀、第1四半期の利益が過去最高 フラン安や

ビジネス

仏エルメス、第1四半期は17%増収 中国好調

ワールド

ロシア凍結資産の利息でウクライナ支援、米提案をG7

ビジネス

北京モーターショー開幕、NEV一色 国内設計のAD
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 2

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴らす「おばけタンパク質」の正体とは?

  • 3

    「誹謗中傷のビジネス化」に歯止めをかけた、北村紗衣氏への名誉棄損に対する賠償命令

  • 4

    心を穏やかに保つ禅の教え 「世界が尊敬する日本人100…

  • 5

    マイナス金利の解除でも、円安が止まらない「当然」…

  • 6

    ワニが16歳少年を襲い殺害...遺体発見の「おぞましい…

  • 7

    NewJeans日本デビュー目前に赤信号 所属事務所に親…

  • 8

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 9

    中国のロシア専門家が「それでも最後はロシアが負け…

  • 10

    ケイティ・ペリーの「尻がまる見え」ドレスに批判殺…

  • 1

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 2

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 3

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 4

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 5

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

  • 6

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴…

  • 7

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 8

    NewJeans日本デビュー目前に赤信号 所属事務所に親…

  • 9

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 10

    「誹謗中傷のビジネス化」に歯止めをかけた、北村紗…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこと」目からうろこの健康法

  • 4

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の…

  • 5

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 6

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 10

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story