コラム

AIでビジネスのカンブリア大爆発を起こすLeapMindの野望

2016年11月09日(水)12時25分

家電製品や家具が「目」を持つ

 このカメラと同様のイノベーションが、いろいろなデバイス、領域で起ころうとしている。

 例えば家庭内。コンロの様子をAIチップ搭載小型カメラでモニターすることで、コンロの火を自動調整してくれるようになるかもしれない。スパゲッティを茹でているときに、沸騰した水が吹きこぼれそうになれば火力を自動的に下げ、沸騰がおさまってくれば再度火力を自動的に上げる、といういようなことが可能になる。コンロの近くに立っていなくても、安全に調理ができるようになるわけだ。

 窓にAIチップ搭載小型カメラを設置すれば、朝日とともにカーテンが自動的に開くように設定できるかもしれない。不審者の動きを認識して、出先の家族に不審者の写真を転送してくれるようなサービスも可能になるだろう。AIは、カメラに写った人物が家族なのか不審者なのか、正確に見分けることができるようになるだろう。

 ダイニングテーブルの照明器具にAI搭載小型カメラを設置すれば、テーブルの上の料理や食材を認識し、摂取カロリーを自動的に算出してくれるようにもなるかもしれない。

 テレビにAI搭載小型カメラを設置して、顔認識や表情認識機能を持たせることで、コマーシャルをだれが見ているのかが分かるようになるだろう。またそのときの表情から読み取れる感情を認識し、テレビコマーシャルに対する消費者の感情を認識することも可能になるかもしれない。

 洗面台の鏡にカメラを設置することで、表情や皮膚の状態から読み取れるストレス度や健康状態、心拍数などを記録したり、肌の状況にあった化粧方法を提案してくれるようにもなるかもしれない。

 冷蔵庫にカメラを設置すれば、どのような食材があるのか、賞味期限がいつなのかを把握し、スマートフォンから確認できるようになる。残っている食材から可能なレシピを提案したり、そのレシピで調理するのに足らない食材だけを宅配するサービスなども生まれてきそうだ。

 こうしたアイデアは昔から話題になるが、これらのアイデアを実現するための技術がいよいよ完成しようとしているわけだ。

「5年以内に影響を受けない業界などない」

 消費者向けだけではなく、ビジネス用途もアイデア次第だ。

 店頭のカメラで客の表情を解析し、どういう手順で話を進めれば営業マンがクロージングできるのかを研究することも可能だ。
工場の機械にAIチップを搭載し各種センサーを紐付ければ、いろいろな過去データから機械の故障を事前に察知できるようになる。いつ故障するのか正確に把握できるようになれば、事前に代替機を準備できるので、生産ラインの停止時間を最小限に抑えることができるだろう。

プロフィール

湯川鶴章

AI新聞編集長。米カリフォルニア州立大学サンフランシスコ校経済学部卒業。サンフランシスコの地元紙記者を経て、時事通信社米国法人に入社。シリコンバレーの黎明期から米国のハイテク産業を中心に取材を続ける。通算20年間の米国生活を終え2000年5月に帰国。時事通信編集委員を経て2010年独立。2017年12月から現職。主な著書に『人工知能、ロボット、人の心。』(2015年)、『次世代マーケティングプラットフォーム』(2007年)、『ネットは新聞を殺すのか』(2003年)などがある。趣味はヨガと瞑想。妻が美人なのが自慢。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

ロシアがイースター停戦表明、11─12日 ウクライ

ワールド

イスラエル首相、レバノンとの和平交渉開始指示 米で

ワールド

国連特使がイラン訪問、外務次官と会談 戦闘終結の道

ワールド

トランプ氏、欧州駐留米軍の一部撤収を検討 NATO
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:トランプの大誤算
特集:トランプの大誤算
2026年4月14日号(4/ 7発売)

国民向け演説は「フェイク」の繰り返し。泥沼化するイラン攻撃の出口は見えない

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    古代のパピルスから新たに見つかった「2500年前の文章」...歴史を塗り替えかねない、その内容とは?
  • 2
    バリ島沖の要衝で「中国製水中ドローン」が回収される...潜水艦の重要ルートで一体何をしていた?
  • 3
    ポケモンで遊ぶと脳に「専用の領域」ができる? ポケモンが脳の発達や病気の治療に役立つかも
  • 4
    撃墜された米国機から財布やID回収か、イラン側が拡…
  • 5
    韓国、生理用品無償支給を7月から開始 靴の中敷きで…
  • 6
    戸建てシフトで激変する住宅市場
  • 7
    高学力の男女で見ても、日本の男女の年収格差は世界…
  • 8
    目のやり場に困る...元アイスホッケー女性選手の「密…
  • 9
    「地獄を見る」のは米国か──イラン地上侵攻なら革命…
  • 10
    「仕事ができる人」になる、ただ1つの条件...「頑張…
  • 1
    米特殊部隊、米空軍兵士救出「大成功」に残る多くの疑問
  • 2
    古代のパピルスから新たに見つかった「2500年前の文章」...歴史を塗り替えかねない、その内容とは?
  • 3
    韓国、生理用品無償支給を7月から開始 靴の中敷きで代用した少女たちから10年、アジア初の普遍的支援へ
  • 4
    イラン戦争の現実...アメリカとイスラエル、見え始め…
  • 5
    「南東部と東部の前線で480平方キロ奪還」とウクライ…
  • 6
    「考えの浅い親」が子どもに言ってしまっている口ぐ…
  • 7
    「地獄を見る」のは米国か──イラン地上侵攻なら革命…
  • 8
    バリ島沖の要衝で「中国製水中ドローン」が回収され…
  • 9
    ポケモンで遊ぶと脳に「専用の領域」ができる? ポ…
  • 10
    攻撃開始日も知っていた?──イラン戦争を巡る巨額取引…
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    米特殊部隊、米空軍兵士救出「大成功」に残る多くの疑問
  • 3
    「根底にあるのは怒り」...日本の「3Dプリンター住宅」企業が救う、ウクライナの未来
  • 4
    「ノーと言えるスペイン」の背景に国防意識...次期ス…
  • 5
    キャサリン皇太子妃、ナイジェリア大統領夫妻出迎え…
  • 6
    数時間以内に死に至ることも...若者の間で集団感染が…
  • 7
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」…
  • 8
    古代のパピルスから新たに見つかった「2500年前の文…
  • 9
    米軍も防ぎきれないイランのドローン攻撃──イラン製…
  • 10
    メーガン妃、娘リリベット王女との「お手伝い姿」公…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story