コラム

「新人にどぶ板営業なんかさせて辞めたらどうする!」と介入してくる「ヘリコプター人事」の弊害

2019年01月31日(木)18時37分

若手社員を守っているつもりで実は腐らしているのが「ヘリコプター人事」 id-work/iStock.

<営業の経験もないのに営業に口を出してくる人事が増えている。それは決して若者のためにならない>

頭上を旋回するヘリコプターのように部下を監視し、トラブルが起きたら急降下して、すぐさま介入する上司を「ヘリコプター上司」といいます。採用難の時代に離職されては困るので、いらぬ手出しをし続けてしまうのです。

「見積り資料の作り方がわからない? わかった。おい、高橋君、どうして見積り資料のマニュアルを作っておかないんだ? 新入社員が困るだろう」

「あれ? これは誰に頼まれた仕事? 生産管理部の主任に言われた? 冗談じゃない。これは生産管理部がやる仕事だ。ちょっと文句を言ってくる。私に任せておきなさい」

......などと、頼まれてもいないのに。

部下を人間扱いせず、罵倒したり無視したりするブラック上司とは真逆の存在です。しかし、こんな過干渉を続けていれば、若い人たちの自主性や、判断能力は育ちません。乱暴な表現かもしれませんが、若手のうちはハードワークをこなし、「叱られながら育つ」ものです。

ヘリコプター人事部の妨害

直属の上司ではなく、人事部そのものが「ヘリコプター化」するケースもあります。私は企業の現場に入って目標を絶対達成させるコンサルタントです。営業に、お客様との接点量を爆発的に増やしてもらい、関係性を構築し、見込み客の資産形成を促すことをメインにお手伝いしています。

私どものやり方に賛同するのは、ほとんどのケースにおいて経営者だけです。営業部は、日ごろからの営業活動を根本的に変えなければならなくなるので、激しく抵抗してきます。したがって私たちがコンサルティングする際、一番初めにやらなくてはならいのが、当事者である営業部員たちの意識改革です。

市場の分析、正しい顧客戦略をしたうえで、ポテンシャルのあるお客様に対して継続的に接点を持ち、未来の「見込み客」になってもらうために関係性を構築することはとても重要。これをキチンと説明すれば、営業部の人たちは理解してくれます。

新しいことをするのに、体は抵抗しても、頭ではわかってくれるものです。

ところが、当事者の営業部ではなく、人事部が出てくる場合が最近増えています。営業活動を根本的に理解していない人は、「単純接触を繰り返すことで、お客様との人間的な繋がりができ、相手が聞く耳を持つようになって初めて、こちらの提案にも耳を傾けてくれる」という発想がわかりません。

「今の時代、馬鹿みたいにお客様のところへ通わせて意味があるのか? 特に若手にそんなことをさせたら、すぐ会社を辞めてしまう!」

「若手社員に対する指導があいまい過ぎる。誰もがわかるように、もっとマニュアルを整備してほしい」

当事者である営業担当者たちが興ざめするぐらいに、部外者である人事部が乗り込んでくるのです。

私どもコンサルタントは、このようなケースを事前に想定し、経営者と関係を構築しておきます。ヘリコプター人事部を説得できるのは経営者しかいないからです。

プロフィール

横山信弘

アタックス・セールス・アソシエイツ代表取締役社長。現場に入り、目標を絶対達成させるコンサルタント。全国でネット中継するモンスター朝会「絶対達成社長の会」発起人。「横山信弘のメルマガ草創花伝」は3.5万人の企業経営者、管理者が購読する。『絶対達成マインドのつくり方』『営業目標を絶対達成する』『絶対達成バイブル』など「絶対達成」シリーズの著者。著書はすべて、中国、韓国、台湾で翻訳版が発売されている。年間100回以上の講演、セミナーをこなす。ロジカルな技術、メソッドを激しく情熱的に伝えるセミナーパフォーマンスが最大の売り。最新刊は『自分を強くする』。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

中国、高市首相の台湾発言撤回要求 国連総長に書簡

ワールド

MAGA派グリーン議員、来年1月の辞職表明 トラン

ワールド

アングル:動き出したECB次期執行部人事、多様性欠

ビジネス

米国株式市場=ダウ493ドル高、12月利下げ観測で
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界も「老害」戦争
特集:世界も「老害」戦争
2025年11月25日号(11/18発売)

アメリカもヨーロッパも高齢化が進み、未来を担う若者が「犠牲」に

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ポルノ依存症になるメカニズムが判明! 絶対やってはいけない「3つの行動」とは?【国際研究チーム】
  • 2
    マムダニの次は「この男」?...イケメンすぎる「ケネディの孫」の出馬にSNS熱狂、「顔以外も完璧」との声
  • 3
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるようになる!筋トレよりもずっと効果的な「たった30秒の体操」〈注目記事〉
  • 4
    AIの浸透で「ブルーカラー」の賃金が上がり、「ホワ…
  • 5
    「週4回が理想です」...老化防止に効くマスターベー…
  • 6
    「裸同然」と批判も...レギンス注意でジム退館処分、…
  • 7
    Spotifyからも削除...「今年の一曲」と大絶賛の楽曲…
  • 8
    海外の空港でトイレに入った女性が見た、驚きの「ナ…
  • 9
    「まじかよ...」母親にヘアカットを頼んだ25歳女性、…
  • 10
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 3
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR動画撮影で「大失態」、遺跡を破壊する「衝撃映像」にSNS震撼
  • 4
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 5
    ポルノ依存症になるメカニズムが判明! 絶対やって…
  • 6
    「まじかよ...」母親にヘアカットを頼んだ25歳女性、…
  • 7
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 8
    【銘柄】ソニーグループとソニーFG...分離上場で生ま…
  • 9
    AIの浸透で「ブルーカラー」の賃金が上がり、「ホワ…
  • 10
    「ゲームそのまま...」実写版『ゼルダの伝説』の撮影…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 3
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 4
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 5
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 6
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 7
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 10
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story