コラム

どれほど「時間管理術」を学んでも、長時間労働がなくならない理由

2018年10月29日(月)13時30分

いくら走っても追いつかないのはなぜ? SIphotography-iStock.

<個々がどんなに効率化しても、仕事全体の無駄が残ったままなら、効果はたかが知れている>

業務効率化、生産性向上、時短......。日本の企業は今、かつてないほど長時間労働の文化をモディフィケーション(変更)しろ、と政府や世間から圧力をかけられています。

私は残業をはじめとする時間外労働は、野球の「延長戦」のようなものだと考えています。毎日残業する人、しょっちゅう休日出勤をしている人は、9回裏で決着をつけずに、いつも延長戦に入ることを見越して試合をしているような選手だと見ています。

このような発想でゲームをしていれば「試合に勝つ気はないんだろう」「いつもだらだら試合をしていて応援する気になれない」と周囲から言われても仕方がありません。

延長戦をゼロにできないのと同じように、時間外労働をゼロにできないことは理解できます。しかし、その労働時間を「織り込み済み」で仕事の計画を立てる人が多い職場では、そもそもの文化を変える必要があるでしょう。

「時間管理術」は小手先のテクニック

企業の現場に入り、目標の絶対達成をスローガンにしてコンサルティングをしている私たちからすると、ひとえに「長時間労働の是正」と言っても一筋縄ではいかない話です。

ましてや「時間管理術」の書籍に書いてあるような、

●朝一番にタスクを書き出す
●Todoリストをうまく活用する
●資料のフォーマットを統一して一元管理する
●2種類のノートを用途に分けて持ち歩く
●朝シャワーを浴びて目を覚ます
●文房具の色を変えて集中力をアップする

......といった、いわゆる「小手先」のテクニックでは、根本的な問題は解決しません。

これらは単なる自己満足的なタイムマネジメントテクニックに過ぎないのです。毎日夜の9時まで仕事をしている人が、これらの時間術で夕方6時までに仕事が終えて帰宅でき、家族との時間や趣味の時間に没頭できるようになるかというと、あり得ないのです。単なる幻想で終わります。

延々と続く「手段の目的化」

たとえば、ある企業で「コスト削減プロジェクト」が立ち上がったとします。どうすれば、各部署でコスト削減ができるのかを話し合おうと、部署ごとに代表が集められました。しかし始まってみると、議論は平行線をたどります。夜遅くまで会議をしても結論は出ず、懇親会と称して飲みに行く日々が続いたとしましょう。

さらに、これを繰り返していることで、それぞれの担当者が本来の業務に手を付けられなくなり、アシスタントを増やそう、もっと業務を効率化するための情報システムを導入しようという話となったとします。

プロフィール

横山信弘

アタックス・セールス・アソシエイツ代表取締役社長。現場に入り、目標を絶対達成させるコンサルタント。全国でネット中継するモンスター朝会「絶対達成社長の会」発起人。「横山信弘のメルマガ草創花伝」は3.5万人の企業経営者、管理者が購読する。『絶対達成マインドのつくり方』『営業目標を絶対達成する』『絶対達成バイブル』など「絶対達成」シリーズの著者。著書はすべて、中国、韓国、台湾で翻訳版が発売されている。年間100回以上の講演、セミナーをこなす。ロジカルな技術、メソッドを激しく情熱的に伝えるセミナーパフォーマンスが最大の売り。最新刊は『自分を強くする』。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

衆院選きょう投開票、自民が終盤まで優勢 無党派層で

ワールド

イスラエル首相、トランプ氏と11日会談 イラン巡り

ビジネス

EXCLUSIVE-米FRB、年内1─2回の利下げ

ワールド

北朝鮮、2月下旬に党大会開催 5年に1度の重要会議
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプの帝国
特集:トランプの帝国
2026年2月10日号(2/ 3発売)

南北アメリカの完全支配を狙うトランプの戦略は中国を利し、世界の経済勢力図を完全に塗り替える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた実験室」に...抗生物質の「不都合」な真実とは
  • 2
    がんの約4割は、日々の取り組みで「予防可能」...予防のために、絶対にしてはいけないこととは?
  • 3
    韓国映画『しあわせな選択』 ニューズウィーク日本版独占試写会 60名様ご招待
  • 4
    韓国ダークツーリズムが変わる 日本統治時代から「南…
  • 5
    エヌビディア「一強時代」がついに終焉?割って入っ…
  • 6
    【台湾侵攻は実質不可能に】中国軍粛清で習近平体制…
  • 7
    心停止の8割は自宅で起きている──ドラマが広める危険…
  • 8
    【銘柄】「ソニーグループ」の株価が上がらない...業…
  • 9
    台湾発言、総選挙...高市首相は「イキリ」の連続で日…
  • 10
    日経平均5万4000円台でも東京ディズニー株は低迷...…
  • 1
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 2
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた実験室」に...抗生物質の「不都合」な真実とは
  • 3
    日本への威圧を強める中国...「レアアース依存」から脱却する道筋
  • 4
    致死率は最大75%のニパウイルスが、世界規模で感染…
  • 5
    がんの約4割は、日々の取り組みで「予防可能」...予…
  • 6
    「出禁」も覚悟? ディズニーランドで緊急停止した乗…
  • 7
    米戦闘機、空母エイブラハム・リンカーンに接近した…
  • 8
    グラフが示す「米国人のトランプ離れ」の実態...最新…
  • 9
    高市首相の発言は正しかった...「対中圧力」と「揺れ…
  • 10
    エヌビディア「一強時代」がついに終焉?割って入っ…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 2
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 3
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 4
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」…
  • 5
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した─…
  • 6
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡…
  • 7
    防衛省が「新SSM」の映像を公開、ノルウェー・コング…
  • 8
    中国で大規模な金鉱脈の発見が相次ぐ...埋蔵量は世界…
  • 9
    【クイズ】韓国を抜いて1位に...世界で最も「出生率…
  • 10
    180万トンの「リチウムごみ」を資源に...EV電池の「…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story