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イタリア事情斜め読み

ヴィズマーラ恵子|イタリア

犬や猫のICチップ義務化、イタリアでのそれは何のためにあるのか

iStock- vm

| イタリアにおける犬や猫のICチップ

日本では2022年6月1日からペットショップ等で販売される犬や猫のICチップ装着が義務化された。愛玩動物の飼育者はペットにはマイクロチップを埋め込む必要がある。

ICマイクロチップは必須なのか?それは何のためにあるのか?

イタリアでは、犬や猫にICマイクロチップを装着することは必須であり、犬の登録簿への登録を完了するのに役立つものである。マイクロチップを入れていない愛玩動物の飼育者には重い罰金が課せられる。
犬小屋で養子縁組された犬、路上で見つけられた犬、または繁殖で購入された犬は、犬種に関係なく、それを持っている必要がある。

イタリアの法律で、それがいつ着られるべきと義務化されたのか、そしてそれが何のためにあるかを紹介したい。

●イタリアでマイクロチップはいつから犬に義務付けられたのか?

犬用のマイクロチップは、 2004年11月5日から、LR16/2001の第4条の実施において義務付けられている。これは、犬と飼い主を識別し、犬の登録簿にすべての犬を強制的に登録することで野良犬との選別に使用される目的のものである。
2004年より前に生まれた動物の場合、法律で識別タトゥーがまだ有効であっても、マイクロチップを着用することを強く推奨されている。


●マイクロチップをどのように装着するのか?

犬にマイクロチップを装着させるには、犬の誕生から60日(生後2か月)以内に専門の獣医または地方保険公社(ASL)の従業員に連絡する必要がある。連絡しないと罰金が科せられる。

マイクロチップは、動物の首の左側に少量の注射をすることによって皮膚の下に挿入される。
その後、飼い主と犬のデータを入力できるフォームに記入して、犬の登録簿への犬の登録を完了する。
登録内容:品種、性別、髪の色、特定の標識、およびに存在する数値コードマイクロチップ。

犬をマイクロチップに登録できる飼い主は、成人だけで、実際、未成年者は法的責任能力に欠けるため、動物の正式な所有者になることはできない。(未成年者の保護者が代わりに登録しなければならない)。


●イタリアで自分の飼っているペットの犬がマイクロチップを持っていない場合はどうなるか?

マイクロチップを犬に装着することは、法律によって定められた義務であり、任意ではない。
このため、違反者には行政罰金が科される。実際、すべての飼い主は、動物の生後2か月以内に犬にマイクロチップを入れてもらう必要がある。

▶︎犬が生後3か月後にマイクロチップを使用していない場合、罰金は104(約14,800円)〜259ユーロ(約3万7千円)の範囲になる。
所有者に対するその他の制裁は、
▶︎犬の登録簿への登録に失敗した場合、78〜233ユーロ。(約1万1千円から3万3千円)
▶︎犬の失踪、死亡、所有権の移転を報告しなかった場合、78ユーロから233ユーロ。(約1万1千円から3万3千円)
▶︎他の地域または海外からの犬の未登録の場合、78〜233ユーロ。(約1万1千円から3万3千円)


●犬用のマイクロチップは何に使われているのか?

犬にマイクロチップ要件を導入することには、複数の利点がある。

▶︎放棄を思いとどまらせるのに役立つ。
▶︎迷子になった犬を見つけ、飼い主を特定するのに役立つ。
▶︎予防接種の状況を知ることができる。
▶︎飼い主が犬と一緒に海外旅行できるようになる。(マイクロチップを持っていない人はイタリア国外にはペットを連れ出すことはできない。)


例えば、ウクライナ戦争以来日本ではこんなことも話題となった。
ウクライナ避難民が日本に連れてきたペット問題である。
4月18日にウクライナから5匹の犬が日本に到着した。特例で検疫対応を緩和になり、狂犬病予防法に基づき通常は「最長180日間の隔離」のところを検疫所外での飼育を可能になったと。

まず、EU連合でもICマイクロチップは共通で、これを装着しているペットはEU圏内を行き来できる。ウクライナでもICマイクロチップが義務化されていたかは分からないが、日本へ到着した5匹の犬にICマイクロチップが埋め込まれたいたならば、検疫もスムーズに行きデータ化され管理や狂犬病の予防接種を行っているかどうかも把握できたはずである。

| イタリアにおける狂犬病ワクチンの義務について

EUの法律で義務付けられているように、EUと非EU諸国の両方の外国との間で犬、猫、フェレットを移動させる場合は、狂犬病予防接種が義務付けられている。
動物は、出発の少なくとも20日前に狂犬病の予防接種を受ける必要があり、狂犬病の予防接種に加えて、ヨーロッパ共同体に属する国への、または国からの旅行の場合でも、国際パスポートも必要なのである。
狂犬病ワクチン接種は、フリーランスの獣医師か、認可された獣医クリニックまたはクリニックでのみ実施でき、個々の獣医師が決定した料金が適用されている。

イタリア国外にペットを連れ出ない場合でも、2013年3月までは、イタリア国内ではペットの犬、猫、フェレットに狂犬病ワクチンを接種させることは義務付けられていた。しかし、その義務は現在は失効しており、現在は推奨のレベルに止まっている。実際、私は自分の飼っている愛犬たちには、義務化があった2013年までは狂犬病ワクチンを毎年打っていた。ワクチンの料金はかなりお高い。

今は、イタリア国外に連れ出し、旅行する予定も無いので、あえて狂犬病のワクチン接種はしていない。国外に出る場合は20日前に接種することにはなっているので、予定もないのにする意味もないからである。ウクライナの避難民のように、戦争により国外に避難する場合、ペットも一緒に連れ出さなければならない緊急事態の場合でもない限り、狂犬病予防注射はなるべくならば受けさせたくはない。

狂犬病のワクチン義務化については、イタリア保健省が狂犬病のない国の地位を取得した後、イタリア獣医師協会(ANMVI) に転送、ペットの予防接種義務の失効についての疑念を払拭した。2011年、狂犬病のキツネの最初の症例から約4年後、北東部にある山の牧草地で飼育された犬と家畜の予防接種義務も失効した。
2013年3月1日公式、フリウリベネチアジュリア、ベネト、トレントとボルツァーノの自治州に向かう犬、猫、フェレットにワクチンを接種する義務は無い。
しかし、獣医師は依然としてイタリア北東部に狂犬病のリスクは潜んでいる、またはイタリア北東部に向かって行く人々には予防接種を勧めている。
イタリア獣医協会はまた、EUの規制に従い、ペットのパスポートを持って海外を旅行するすべての犬、猫、フェレットには狂犬病予防が義務付けられていることも忘れてはならないと言っている。国内においてもこういった北部にペットを連れ出す場合には注意が必要である。

さて、またICマイクロチップに話を戻そう。

イタリアで使われている犬のマイクロチップはRFID技術を使用している。(無線周波数識別)動物や飼い主に害を及ぼさないし、非常に小さな無線周波数波によるものである。
一種の「犬の身分証明書」(一意の15桁のコードで構成)を表し、動物が犬の登録簿に定期的に登録されているかどうかを確認する認定獣医師、またはすべての主要な飼い主と犬のデータが入力できる。

●ICマイクロチップのお値段は?

犬用のマイクロチップの価格は地域ごとに異なり、連絡先の獣医の関税によって異なるが。一般的にそれは25から40ユーロ(約3千600円から5千700円)の費用がかかる。
場合によっては、参照ASLの獣医サービスに連絡することでマイクロチップを無料で入手することもできる。たとえば、犬舎で養子縁組された犬やマイクロチップがなく路上で回収された犬の場合、その費用は常に地方保険公社(ASL)が負担する。

私は、イタリアで2匹のイングリッシュ・ブルドックを飼っている。もちろん、2匹とも首の辺りに小さなICマイクロチップが埋め込まれている。皮膚の上から触ってもどこにチップがあるのかは全く分からない。マイクロチップによる健康被害は愛犬たちには一切ない。
私の飼っている2匹目の雄ブルドックは、里親探しのサイトで偶然見かけた保護犬である。
我が家に連れて帰った翌日に、獣医さんのところに連れていき、健康チェックとマイクロチップで飼い主の名義を変更してもらった。獣医さんのPC画面から、前の飼い主情報に、私のコーディチェ・フィスカーレ(日本でいうマイナンバー、イタリア個人納税者番号)を上書きしてもらい、任意の情報であるが、私の電話番号やメールアドレスなども追記登録してもらったと記憶している。

2014年には、イタリア政府が財政難でどうしようもなくなり、国民に贅沢税をかけ、巻き上げられそうなところ、いたる分野に税金をかけていた。
その際、「ペットを1人で2匹以上所有し飼っている者は贅沢である」とし、ペット税なるものを徴収する為の法案を審議していた事もあった。
幸いにも可決されず却下になったペット税だが、ブルドッグを2匹飼っている我が家は、まさにそのペット税の対象となってしまうところであった。

また、こんなこともあった。

飼い主がいない小さなマルチーズが、道路を横断しているのを見かけた。首輪はついているが飼い主情報のタグなどはついていなかった。完全に迷い犬だったので、動物保護団体に連絡をし、保護をしてもらった。首のあたりに専用の医療機材をかざすとピッと鳴り、機材とPC画面には飼い主情報が表示される。すぐに飼い主と連絡を取れ、迷い犬は無事に飼い主の元へ戻った。

iStock-693996862.jpg
iStock- bymuratdeniz ICマイクロチップに機材を当てている。医療機器なので一般には売られておらず機材取得には許可がいる。

家族の一員である愛犬や愛猫に、そんな得体の知れないマイクロチップを埋め込むなんて!絶対に嫌だ、危険だ、動物虐待だ、国からペットまで管理されるのは御免だ、などと心配している方々もいるようだが、「なんら支障はない、むしろ、つけるべきだ」とお勧めしたい。
イタリアの場合は、ペット税導入を試みようとする緊縮策に懸念している部分があるというだけである。

 

Profile

著者プロフィール
ヴィズマーラ恵子

イタリア・ミラノ郊外在住。イタリア抹茶ストアと日本茶舗を経営・代表取締役社長。和⇄伊語逐次通訳・翻訳・コーディネータガイド。福岡県出身。中学校美術科教師を経て2000年に渡伊。フィレンツェ留学後ミラノに移住。イタリアの最新ニュースを斜め読みし、在住邦人の目線で現地から生の声を綴る。
Twitter:@vismoglie

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