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ミャンマーでエンタメとクリエイトする日々

新町智哉|ミャンマー

雨期の始まりのミャンマーにてヤンゴンで感じる違和感とは

平常運転をしているようで使用者は激減しているヤンゴン中央駅:筆者撮影

皆さんこんにちは。
新町智哉です。
今月も今のミャンマー、特にヤンゴンの様子など皆さんにお伝えしていきたいと思います。
ミャンマーはいよいよ雨期に入りました。

ミャンマーの雨期はザックリ言うと5月から11月の半年くらいの間になります。
日本の梅雨とは少し違います。
雨期の直前は気温も40度を超え紫外線もレベル14にもなる(日本では最高12)とんでもない暑さですが、
雨期に入り雨が降ると気温も26度くらいにまで一気に下がり冷やりと感じる事もあるくらいになります。

そして、ミャンマー独特の風習なのですが、この時期になると結婚や引っ越しなどは縁起が悪いので控えるようにというようになり、実際にそういった事はかなり少なくなります。
特に結婚式に感じてはこの時期にするミャンマー人を私は聞いた事がありません。
その代わりに10月の終わりのダディンデュという雨期明けを祝うような行事があるのですが、そのあとからは結婚式ラッシュとなります。

どうしてもこの時期になると経済を含めて色んな事が停滞気味になるイメージです。
クーデター後二度目の雨期がやってきました。
さて、今年は一体どんな風になっていくんでしょうか?

お知らせを一つ
少し前になりますが、J-WAVE JAM THE PLANETの出演しました。
番組自体は3時間近くあるのですが、その中から私が出演したところがアーカイブ化されています。
ミャンマーについて現地ヤンゴンから思うままにお伝えしていますので是非お聴きいただければと思います。

2.jpg

更に詳しくは先月書いた記事を読んでもらえればより深く理解していただけると思います。


さて、五月も後半に入っています。
昨年のクーデターから、もう1年と4カ月が経とうとしている訳です。
世界はその間にも沢山のニュースがあり、日本ではミャンマーの事だけに注意を向けるという事は難しいのかもしれません。
さて現状は一体どうなっているのか?
私が住んでいるヤンゴンとそれ以外の地域というところで比較していきながらお伝えしていきたいと思います。

一時期に比べれば私自身が街へ出る機会はとても増えています。
家から出る時も以前のような最悪命に係わるような危険を感じる事はありません。
町中で銃を外に向けながらトラックを走らせる軍を観た時など、ふいに冷や汗をかくような緊張感に見舞われることはありますが概ねヤンゴン市内であれば「平和に感じる」というのは間違った表現ではないと思います。

その一部だけを取って「平穏を戻しつつあるミャンマー」などという表現がメディアなどにも出ているのを非常に私は危険視しています。
ことさら危険を煽るつもりはありません。
先にも述べた通り、現状ヤンゴンで日本人である私が出歩いたりするのに危険を感じないというのは事実です。
ですが、その裏で様々な事件が起こっている事もしっかりと認識していただきたいと強く思っています。

今ミャンマーではクーデター前より色んな格差が広がっていると思います。
貧富の差は勿論ですが、安全の格差、情報の格差など様々なものが以前より進んだという感じがあります。
今この瞬間でも都市部から離れたところでは実際に軍の侵攻が行われ沢山の死傷者が出ているのです。

世界のメディアから正確な数字だと信用され使われているミャンマー政治犯支援協会(AAPP)によると、
これまでの死者1,850人
不当拘束により捕らえられている人13,759人
指名手配されている人1,979人。
これはあくまでキチンと裏どりができる人数というだけで、実際にはこれ以上の犠牲者が出ていてなんの不思議もありません。
この人数はいまだに毎日増え続けているのです。

このAAPPの数字だけを追っかけていくと毎日微増としか見えないかもしれません。
それだけでも異常な事ではありますが、実際、AAPPではカバーしきれない軍の侵攻による犠牲者はさらに多数います。
地方では一日で村や町が完全に消し去られる事が今も続いているからです。
空爆もあります、更には人が住んでいる村や町ごと焼き討ちされる事案も多数確認されています。

この犠牲者はほぼこのAAPPの数字の中には含まれていません。
生きたまま焼かれ生前誰だったのか誰も確認できないような犠牲者も多数出ているからです。
いずれ事実に近い数字は出てくるのかもしれません。
私はそれが軽く一万人を超えていたとしても驚きません。
実際様々聞こえてくる犠牲者の話を総合すると現状2000人を下回っている事が正確な数字とはとても思えないからです。

ここで現在のヤンゴンの様子をもう一度振り返ってみましょう。
実際に私は家を出かける事に以前のような危険を感じる事はありません。
街に出ると一時期のように道路がガランとしているような事もなく、今は渋滞が起こったりもしています。
チャットが暴落している現状、様々な物価が上がり(ガソリンなどは一時期の4倍近くになっています)国民の生活は間違いなくクーデター前より苦しくなっています。
そもそも住居さえ追われるような国民が数十万人発生しているのです。

これらの事をどう読み解くかというのが非常に大事なのだと思っています。
何も地方で大変な人と同じように都市部でもやるべきなどとは思いません。
今のヤンゴンで起こっている事もまた一つの事実です。
重要なのはこれだけ普通の生活を送れている都市部がある一方、軍の侵攻により明日をもしれない人々が数十万人発生してしまうような国になっているのが今のミャンマーだというような事です。
この過酷な事実を起こしているのは一体誰なのでしょうか?

先ほども述べた通り、普段の生活(に近い)をする人たちを非難するつもりは全くありません。
経済活動を含め、全てを止めてしまってはもはや罪のない人たちの生活もままならなくなっています。
働く人にとっても様々な複雑な事情はありますが、ギリギリの選択を取ってみなやれる事をやるべきだと思いますし、実際大多数の国民が今そのように動いています。

もともとの富裕層の中にはその緊張感が感じられない人も勿論いるでしょう。
しかし、例えば私の知り合いでヤンゴンで仕事をしているミャンマー人の友人も地方に住む親戚の近しい人が正に今軍の侵攻を受けていたりする訳です。
そんな中できる限りの経済活動をして僅かなお金の中から地方の人たちを支援する為に寄付などをする人も沢山います。
そのようなギリギリな国全体の中の一部平和な地域に日本人を含めた大多数の外国人が存在しているのが現在のミャンマーなのだなと感じています。
普段の私の生活から見える景色とSNSや独立系メディアと呼ばれる、軍からライセンスをはく奪されたメディアなどの情報があまりにもギャップがある事に違和感しか感じません。

そして、今日も軍が支配する国営のメディアは抵抗する国民を全て「排除して良いテロリスト」と呼び、
ミャンマーは平和が戻ってきている、観光客を呼び戻し、更には世界から投資を呼び込もうと画策している訳です。

これからのミャンマーの未来の事、引き続き慎重に考えていかないといけないと強く思っています。

それではまた明日。

 

Profile

著者プロフィール
新町智哉

映像プロデューサー。2014年からミャンマー最大都市ヤンゴンに在住。MAKE SENSE ENTERTAINMENT Co.,Ltd. GM。日緬製作スタッフによる短編コメディ「一杯のモヒンガー」でミャンマーワッタン映画祭のノミネートを皮切りに世界各国の映画祭で受賞。起業家、歌手、俳優としてもミャンマーで活動する。

Twitter:@tomoyangon
Instagram:tomoyangon
note:https://note.com/tomoyaan

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