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永田賢|インド

備忘録:岸田首相のインド訪問(2023年3月)

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ややタイミングずれではありますが、3月に実施された岸田首相のインド訪問について、過去の訪問や首脳会談とともに、内容を整理してみます。

1.岸田首相の過去のインド訪問、首脳会談記録(外相時代、2021年、2022年)

岸田首相は安倍政権下で外務大臣を務めていらっしゃる際にインドへ訪問されています。(2015年)

外務省の記録を見るに、岸田首相のインド訪問は2015年に実施され、首脳会談としては、2021年以降の記録になります。

2015年の岸田外務大臣インド訪問:

<参照リンク>

岸田外務大臣によるモディ・インド首相表敬|外務省 (mofa.go.jp)

岸田外務大臣スピーチ「インド太平洋時代のための特別なパートナーシップ」|外務省 (mofa.go.jp)

改めて2015年のスピーチを見返してみると、首相就任以来の会談での対インドへの基本姿勢が表現されているように感じられます。

1が価値観共有でインド太平洋における協調路線を保っていこうという姿勢、2が経済面での協調を実施していこうという姿勢、3が安保面でも協力しようというすみ分けになっていると想定されます。

<会談内容の抜粋>

このインド太平洋地域の平和と繁栄を確たるものにするために日印両国はどう取り組めばよいのか。私は,インド太平洋を繋ぐ3本の架け橋を強化していくことを提唱します。
 1本目は,「価値と精神」という架け橋です。
 民主主義,自由,開かれた経済,法の支配などの普遍的価値は,インド太平洋地域が安定し,繁栄し,世界の中心として輝いていくために欠くことのできないものです。(中略)仏教を生んだインド,仏教をはじめとする様々な信仰を受容し日本古来の精神と調和させてきた日本は,アジアの精神性の二大旗手であると言えましょう。
 「価値」と「精神」の両面において,日印は地域を代表する国であり,それ故地域を牽引していくことが可能なのです。それが,日印のパートナーシップが特別な所以の一つであります。

 2本目は,Vibrantな(活力ある)経済」という架け橋です。
 各国の経済が地域内,地域間で有機的につながることで,相乗効果を生み,活力を高めることができます。近年,強化の進む日印経済関係も,インド太平洋地域全体に裨益するものへと昇華させていくべきです。
 (中略) 科学技術や最先端技術への投資は,経済成長の基礎であり起爆剤です。日本とインドは,海洋技術・海洋観測,宇宙などの分野で若手研究者間交流の拡大をはじめとした協力を強化することに首脳間で合意しています。科学や技術の分野における日印パートナーシップを強化することで,活力ある地域経済の種を撒き,育てていきたいと考えています。

 そして,3本目は,「開かれ安定した海洋」という架け橋です。
 インド洋から南シナ海を経て太平洋に至るこの地域は海によって繋がれた地域です。共に海洋国家であるインドと日本は,シーレーンの安全に死活的利益を託す国です。国際法に基づいた主張,主張を通すために「力」を用いない,紛争の平和的解決,という安倍総理が提唱した「海における法の支配の三原則」が徹底されることが,この地域の平和と安定の基盤となることは論をまちません。
 日本とインドは,防衛当局間の共同海上訓練,海上保安当局間の対話や連携訓練の実施など,海上安全保障分野での協力を積み重ねてきています。今後,救難飛行艇US-2を含む防衛装備協力や印米マラバール海上訓練への日本の継続的参加など更なる協力強化を進めていくことが重要です。さらには,ASEAN地域フォーラム(ARF)や東アジアサミット(EAS)などのマルチの枠組みにおける日印協力もますます重要になってくるでしょう。日印の特別なパートナーシップの下,「開かれ安定した海洋」を守るという私たちに課せられた重責を,より積極的に担っていこうではありませんか。

引用元リンク:

岸田外務大臣スピーチ「インド太平洋時代のための特別なパートナーシップ」|外務省 (mofa.go.jp)

上記のコメントを踏まえつつ、直近の岸田首相とモディ首相の首脳会談を見てみると、外相時代の方針に加え、前任の安倍政権、菅政権から続いてインドとの関係を強化していく方針になっています。

2021年10月:日印首脳電話会議(岸田首相就任タイミングでの電話会談)

<会談内容の抜粋>

  1. 両首脳は、来年の日印国交樹立70周年も見据え、政治・安全保障、経済・経済協力、人的交流といった幅広い分野での協力を進め、「日印特別戦略的グローバル・パートナーシップ」をさらなる高みに引き上げていくことで一致しました。特に、首脳の年次往来の再開が極めて重要であること、日印外務・防衛閣僚会合(「2+2」)の早期開催に向けて調整を進めること、デジタル、グリーン、ヘルスケア、連結性強化、特定技能制度に基づく人材交流等で協力を進めること、日印の旗艦プロジェクトである高速鉄道事業を着実に推進していくこと等を確認しました。
  2. 両首脳は、「自由で開かれたインド太平洋」の実現に向け、日印や日米豪印で、緊密に連携していくことを確認しました。その中で、両首脳は、力による一方的な現状変更の試みや経済的威圧への強い反対の意を改めて共有するとともに、サプライチェーン強靱化等、経済安全保障の面でも協力を深めていくことを確認しました。

引用元:日印首脳電話会談|外務省 (mofa.go.jp)

故安倍首相の国葬の際にも、モディ首相が日本を訪問して岸田首相と会談を実施しました。

<会談内容の抜粋>

  1. 岸田総理大臣から、日印国交樹立70周年の本年から、日印がそれぞれG7、G20の議長国を務める来年にかけては、「日印特別戦略的グローバル・パートナーシップ」を更に強化する絶好の機会である旨述べました。両首脳は様々な分野において協力を推進していくことを確認しました。
  2. 両首脳は、ウクライナ情勢を含む地域情勢について意見交換を行い、紛争の平和的解決の重要性や、透明で公正な開発金融の重要性についての認識を改めて共有するとともに、日印両国がそれぞれ議長を務める来年のG7やG20も念頭に、引き続き連携していくことを確認しました。

    引用元:日印首脳会談|外務省 (mofa.go.jp)

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著者プロフィール
永田賢

Sagri Bengaluru Private Limited, Chief Strategy Officer。 大学卒業後、保険会社、人材系ベンチャー、実家の介護事業とキャリアを重ね、2017年7月に、海外でのタフなキャリアパスを求めてYusen Logistics India Pvt. Ltdのベンガルール支店に現地採用社員として着任。 現地での日系企業営業の傍ら、ベンガルールを中心としたスタートアップに魅せられ独自にネットワークを構築。2019年4月から日系アグリテックのSAgri株式会社インド法人立ち上げに参画、2度目のベンガルール赴任中。

Linkedin: https://www.linkedin.com/in/satoshi-nagata-42177948/

Twitter: @osada_ken

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