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England Swings!

ラッシャー貴子|イギリス

クリスマスの風物詩「パントマイム」にも21世紀のかおり

上演中、子どもたちはずっと食い入るようにステージを見つめていた。前列に座った低学年の生徒たちは大きく身を乗り出していたし、思春期と迎えたと思しき子どもたちもおしゃべりもせず静かに見ていた(高学年の生徒は飽きないのか? という心配はまったく余計なお世話でした)。

子どもたちが舞台に見入っていたのには、パントの楽しさの他にも理由がありそうだ。劇場内は写真も動画も撮影厳禁で、誰もスマホを手にしていなかったのだ。英国では通常はライブの録画もできるし、本番中は禁止でもアンコールでは撮影できたりするが、この劇場では一切禁止。席についた生徒の写真を開演前に撮ろうとした先生さえ注意を受けていた。ここまで厳しいのは珍しいようだけれど、こうして徹底すれば、上演中、子どもたちはスマホから目を離してパフォーマンスに集中するしかない。

初めてのパントで「後ろにいるよ!」がなかったのは残念だったけれど、また次に見る楽しみができたというものだ。終演後、劇場を出ると、夕暮れの中で子どもたちが父兄に迎えられいて、あたたかい気持ちになった。

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やはりクリスマスの風物詩であるバレエ「くるみ割り人形」を見に行ったロイヤルオペラハウスにて。きらめくデコレーションの中で着飾った観客も多く、この場にいるだけで気持ちが華やいだ。筆者撮影

今年もEngland Swings!を読んでくださり、ありがとうございました。これからも英国ロンドンで見て、聞いて、体験したことをお伝えしていきます。来年もよろしくお願いいたします。

メリークリスマス、そしてどうぞよいお年を!

 

Profile

著者プロフィール
ラッシャー貴子

ロンドン在住15年目の英語翻訳者、英国旅行ライター。共訳書『ウェブスター辞書あるいは英語をめぐる冒険』、訳書『Why on Earth アイスランド縦断記』、翻訳協力『アメリカの大学生が学んでいる伝え方の教科書』、『英語はもっとイディオムで話そう』など。違う文化や人の暮らしに興味あり。世界中から人が集まるコスモポリタンなロンドンの風景や出会った人たち、英国らしさ、日本人として考えることなどを綴ります。

ブログ:ロンドン 2人暮らし

Twitter:@lonlonsmile

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