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ラッシャー貴子|イギリス

伊東屋とコラボしたポップアップ店で知ったアニヤ・ハインドマーチの伊東屋愛

 1904年創業当時の明治時代を意識した店構え、シンプルで機能的なディスプレイ、あちこちに掲げられた伊東屋の文字やトレードマークのクリップなどで、アニヤが見た伊東屋が表現されていた。創業以来の白黒写真がビデオになって流れる店内は、ちょっとしたアートギャラリーのようでもあった。欧米のワーキングスタイルに刺激を受けた創業者が日本でも西洋風の文房具を販売しようと店を始めたことも、ロンドンでアニヤに教えてもらうことになった。

 アニヤのウェブサイトには、「整頓された文房具の世界が好き」「伊東屋のクリエイティビティーに刺激を受ける」と書かれている。彼女は文房具が好きなだけでなく、伊東屋にいるだけでわくわくするのかな。和紙や画材の機能的な収納やディスプレイも好きなのかもしれない。そういえばアニヤ・ハインドマーチのバッグはポケットが多く、それぞれに「コイン」とか「スマホ」なんて書き添えられているし、旅行用のポーチも中が細かく分かれている。アニヤは整理整頓も好きに違いない。

アニヤ・ハインドマーチのインスタグラム投稿より、小物が細かく整理できるポーチを紹介する動画。凝ったデザインでしょう? ものの置き場所を決めるのは整理整頓の鉄則とは聞くけれど、こんなポーチがあれば、ずぼらなわたしでもスッキリ暮らせるかも、と淡い期待を抱いてしまう。

 ポップアップ・ショップでは、どのお客さんも手に取ったものを笑顔で眺めていて、日本人としてちょっと誇らしく、文房具好きとしては初めて見る文房具を楽しむ姿が嬉しかった。この店では漫画や書道のワークショップも開かれたようだし、これがきっかけで、日本の文房具や文化に興味を持つロンドナーが増えたらますます嬉しい。

 店員さんの話では、このポップアップ・ショップには伊東屋の社長も日本から見にいらしたそうだ。明治時代に西洋の文房具を持ち込んだ日本の伊東屋と、その伊東屋に魅せられて発信する英国のアニヤ・ハインドマーチは、この先もともに何か新しい刺激を生み出していくかもしれない。

 このポップアップ・ショップは10月15日まで。その後は同じ場所でクリスマスをテーマにしたポップアップを展開する予定だ。

アニヤトート - 1.jpeg

最後にわたしのアニヤのトートコレクションをお披露目させてください。緑のユニバーサル・バッグはウェイトローズというスーパーのもの。12キロまで入って10年は持つという頑丈なもので、一つあればじゅうぶんなのに、新しく出るとつい欲しくなるのがファンというものだ。そしてもうひとつは真ん中に置いた紅茶のパッケージをそのままデザインに使ったトート。サンプルセールで見つけた友人が「あなた絶対好きでしょ」と太っ腹にもプレゼントしてくれた。大好きですとも! ヨークシャーティーは実際に家で飲んでいることだし、友人はヨークシャー出身の夫のことも頭にあったようだ。このバッグで出かけると人の視線にも気づくし、実際に話しかけられることもある。筆者撮影
 

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著者プロフィール
ラッシャー貴子

ロンドン在住15年目の英語翻訳者、英国旅行ライター。共訳書『ウェブスター辞書あるいは英語をめぐる冒険』、訳書『Why on Earth アイスランド縦断記』、翻訳協力『アメリカの大学生が学んでいる伝え方の教科書』、『英語はもっとイディオムで話そう』など。違う文化や人の暮らしに興味あり。世界中から人が集まるコスモポリタンなロンドンの風景や出会った人たち、英国らしさ、日本人として考えることなどを綴ります。

ブログ:ロンドン 2人暮らし

Twitter:@lonlonsmile

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