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England Swings!

ラッシャー貴子|イギリス

伊東屋とコラボしたポップアップ店で知ったアニヤ・ハインドマーチの伊東屋愛

 伊東屋とのコラボショップ、伊東屋 X Anya Hindmarchは、2年前にアニヤがオープンしたザ・ヴィレッジの一角にある。ザ・ヴィレッジはテーマ別のアニヤのショップ5軒とカフェが集まったアニヤの世界だ。市内でも高級住宅に囲まれたチェルシー地区にあって、高級デパートのハロッズやハーヴェイ・ニコルスも近い。そんな街なかにヴィレッジ(村)なんて、という違和感があるかもしれないけれど、のどかなヴィレッジは英国人にとって「居心地のいい場所」の代名詞だ。

 伊東屋 X Anya Hindmarchは、ザ・ヴィレッジの中のポップアップ用スペース、ヴィレッジ・ホールに入っている。ポップアップとはいえ、外部の店を招くのはザ・ヴィレッジでも初めてのことだ。

アニヤ・ハインドマーチのインスタグラム投稿より、伊東屋 X Anya Hindmarchの様子。ロンドンの空に高々と掲げられた伊東屋のトレードマークのクリップがまぶしい。買い物をすると日本の伊東屋と同じ袋に入れてくれていたようだ。わたしが行った時にはすでに期間後半だったせいか、もうなかったけれど。人気だったのね。よかった。

 日本が世界に誇れるものは数々あるけれど、文房具もその一つではないかと思っている。小さなものでも壊れず丈夫で、デザインは細やかでユーモアもある。さらにはキャラクター商品を含めて種類が本当に豊富だ。

 最近では英国でも、凝った手帳やデザインものの文房具がずいぶん増えたけれど、以前はうらめしい思いもした。短期留学をした30年前、記念にロンドンでペンケースを買おうとずいぶん探したものの、種類が少なくて選択の余地がなく、必要に迫られて好みではないものを渋々買った。17年前に引っ越してきた時には、マンスリー表示とウィークリー表示の両方が入った、シンプルに思える手帳さえ見つからず、日本の3倍ぐらいの値段を出して日本製の手帳を買うことになった(探し方が悪かったのかな)。どちらもよく覚えているのは、ロンドンならすてきなものがあるはずという思い込みが覆されてショックだったからだと思う。

 日本はおもしろグッズや便利グッズにも定評がある。これまでわたしがプレゼントした中で一番受けたのは、小さな車の横についた取手のようなものを回すと、中でブラシがぐるぐる回って消しゴムのカスを集めるというものだ。小学生だった夫の孫に渡したら、「さすが日本製!」と、周りの大人の方が夢中になっていた。

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伊東屋のポップアップ・ショップの向かい側にあるアニヤ・カフェ。店の前には大きな桜の木も植わっていて、都心にあるのどかなヴィレッジという雰囲気が演出されている。ニコニコマークや例の目玉がデザインされたケーキやビスケットは見ているだけて楽しくなるうえ、お味もなかなかのものだ。かわいらしい食べもののオンパレードになるアフタヌーンティーは、オープン当初なかなか予約が取れなかったけれど、今はだいぶ落ち着いてきた。筆者撮影

 だから、アニヤと伊東屋のコラボショップにも、日本ならではの配慮ある文房具やおもしろグッズが並んでいるのものだと思いこんでいた。けれど、その場に行ってみると、想像と少し違っていた。もちろん、アニヤが作った楽しい文房具とともに、和紙のシールやマスキングテープ、ノート、動物や乗り物や寿司をかたどったカラフルな消しゴム、東京タワーや浅草寺のペーパークラフト、水引で飾られた祝儀袋、折り紙などが棚いっぱいに置かれていた。でも何より店内に溢れかえっていたのは、アニヤの「伊東屋愛」だった。

Profile

著者プロフィール
ラッシャー貴子

ロンドン在住15年目の英語翻訳者、英国旅行ライター。共訳書『ウェブスター辞書あるいは英語をめぐる冒険』、訳書『Why on Earth アイスランド縦断記』、翻訳協力『アメリカの大学生が学んでいる伝え方の教科書』、『英語はもっとイディオムで話そう』など。違う文化や人の暮らしに興味あり。世界中から人が集まるコスモポリタンなロンドンの風景や出会った人たち、英国らしさ、日本人として考えることなどを綴ります。

ブログ:ロンドン 2人暮らし

Twitter:@lonlonsmile

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