コラム

命を守る人が休めない社会でいいのか? 『レイトシフト』が映す過労の代償

2025年09月09日(火)13時34分
トニー・ラズロ(ジャーナリスト、講師)

日本で労働する者は、労働時間が8時間を超える場合においては少なくとも1時間の休憩時間を労働時間の途中に与えられなければならないことになっている(労働基準法第34条)。

労働基準法では、院長室に休憩スペースを設けていいかどうかについてはさすがに言及されていないが、常識的に考えて、そこに設置するのはずるい策略でしかない。


もしかすると、この不親切な方策には、何か納得のいくような理由が隠されているのだろうか?

そういえば、日本の病院の60%以上が赤字経営になっているという(2024年現在)。友人が臨床体験実習したクリニックの「休憩禁止」の方針も、経営的な生き残りのために設けられたものかもしれない。

だとしても、それは長期的視点に立てば明らかな誤算である。

そう警鐘を鳴らしているのが今、注目を浴びているスイスとドイツの合作映画『レイトシフト(Late Shift)』(26年のアカデミー賞国際長編映画賞のスイス代表)だ。

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