コラム

外国人観光客を地方へ!...の前に、地方にいま必要なこと【脱オーバーツーリズム】

2025年01月25日(土)08時10分
周来友(しゅう・らいゆう)(経営者、ジャーナリスト)
草間彌生の『南瓜』 直島

草間彌生の『南瓜』 AKIO MIKI JP/SHUTTETRSTOCK

<訪日客が過去最多になったが、日本各地の観光地はその急増に悲鳴を上げている。私はこの冬、現代アートの聖地・直島(香川県)で解決のカギを見つけた>

年明け早々、行きつけの美容室で美容師とオーバーツーリズムの話になった。なんでも昨年夏、オーストラリアから遊びに来た留学時代の友人と箱根の温泉宿に泊まろうとしたところ、超高級リゾートホテルか民泊くらいしか空いていなかったらしい。仕方がないので結局、民泊に泊まったそうだ。

箱根だけではない。鎌倉も横浜も浅草も銀座も、そして関東圏外では京都や大阪、北海道、沖縄......と、定番の観光地はどこも外国人観光客の急増に悲鳴を上げていると聞く。年末年始、観光地や帰省先で実感した人も多いはずだ。


私はといえば、この正月、家族で瀬戸内海の直島(香川県)に行ってきた。強風のため草間彌生の『南瓜』(写真)は見られなかったものの、2泊3日の滞在中、島のあちこちに点在する現代アートをレンタサイクルで見て回ったり、地中美術館でのんびり作品を鑑賞したり、おいしい料理に舌鼓を打ったりと、現代アートの聖地を心ゆくまで堪能した。地元と企業が一体になって盛り上げ、それが功を奏している観光地との印象を持った。

【動画】外国人YouTuberによる「直島の見どころ紹介」を見る

それにしてもオーバーツーリズムは厄介な問題だ。訪れる観光客を適度な人数に抑えるのは至難の業。解決のカギとなり得るのは「分散」だろう。

観光客がもっと地方に流れれば、都市部の定番観光地は多少なりとも混雑が緩和される。実際、日本政府は「地方への誘客促進」を観光政策の1つとして掲げており、各自治体も経済活性化を狙って観光客誘致に力を入れている。

プロフィール

外国人リレーコラム

・石野シャハラン(異文化コミュニケーションアドバイザー)
・西村カリン(ジャーナリスト)
・周 来友(ジャーナリスト・タレント)
・李 娜兀(国際交流コーディネーター・通訳)
・トニー・ラズロ(ジャーナリスト)
・ティムラズ・レジャバ(駐日ジョージア大使)

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

ホンダがAstemoを子会社化、1523億円で日立

ビジネス

独ZEW景気期待指数、12月は45.8に上昇 予想

ワールド

トランプ氏がBBC提訴、議会襲撃前の演説編集巡り巨

ビジネス

英総合PMI、12月速報は52.1に上昇 予算案で
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:教養としてのBL入門
特集:教養としてのBL入門
2025年12月23日号(12/16発売)

実写ドラマのヒットで高まるBL(ボーイズラブ)人気。長きにわたるその歴史と深い背景をひもとく

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    ミトコンドリア刷新で細胞が若返る可能性...老化関連疾患に挑む新アプローチ
  • 4
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を…
  • 5
    香港大火災の本当の原因と、世界が目撃した「アジア…
  • 6
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の…
  • 7
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 8
    アダルトコンテンツ制作の疑い...英女性がインドネシ…
  • 9
    FRBパウエル議長が格差拡大に警鐘..米国で鮮明になる…
  • 10
    「なぜ便器に?」62歳の女性が真夜中のトイレで見つ…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出を睨み建設急ピッチ
  • 4
    デンマーク国防情報局、初めて米国を「安全保障上の…
  • 5
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 6
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の…
  • 7
    【クイズ】「100名の最も偉大な英国人」に唯一選ばれ…
  • 8
    ミトコンドリア刷新で細胞が若返る可能性...老化関連…
  • 9
    中国軍機の「レーダー照射」は敵対的と、元イタリア…
  • 10
    香港大火災の本当の原因と、世界が目撃した「アジア…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 3
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 4
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 5
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 6
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 7
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 8
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 9
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 10
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story