コラム

就活の常識をぶっ壊せ!ギャップ・イヤーで広がる日本人の選択の自由

2023年10月20日(金)18時56分
トニー・ラズロ(ジャーナリスト、講師)
就活

KAZUMA SEKI/ISTOCK

<歩むべき道を確認するために、学校以外の社会を体験する>

先日、知人から悩み相談を受けた。「子供は人生で歩むべき道が見えていないのに、もう社会人になる時期が来てしまった」と。大学3年生になった知人の息子は今、いわゆる「新卒一括採用」の真っただ中だという。


 
 
 
 

「新卒一括採用」かあ。これこそ、日本独特の慣習だなと感じてしまう。
在学中に採用選考が行われ、卒業後すぐに入社できるから就活がうまくいけば、早くからじっくり育ててもらえるし、順調に明るい未来へ進める。こうして見ると、メリットは大きいだろう。ただそれはあくまでも、就活がうまくいけば、の話だ。

運悪く不景気だったら就職先はなかなか決まらない。就職浪人を選ぶ手もあるが、年齢制限で応募できない企業も多い。これって年齢差別と隣り合わせではないだろうか。韓国では、2009年の年齢差別禁止法の導入により、新入社員募集時の年齢差別禁止が明確に義務付けられたのだけど。

そういえば、23年の「世界幸福度ランキング」では、多くの日本人が「人生の選択の自由のなさ」を不満の1つに挙げている。新卒一括採用が関係しているかは断言できないが、社会経験をあまり積んでいない若者がこのシステムを通じて就職してしまえば、ゆくゆくは「選択の自由がない」と感じてしまうかもしれない。

また、今年6月に公表された「グローバル就業環境調査」(ギャラップ社)によれば、日本人の仕事満足度はわずか5%にとどまる。なんと調査対象の145カ国中、イタリアと並んで最下位の数値だ。

一方、同じく将来に悩む欧米(特にアメリカとイギリス)の若者は「ギャップ・イヤー」という選択肢をよく勧められる。ギャップ・イヤーとは学生が留学やボランティア活動などができるよう、大学が猶予期間を与える仕組みだ。

プロフィール

外国人リレーコラム

・石野シャハラン(異文化コミュニケーションアドバイザー)
・西村カリン(ジャーナリスト)
・周 来友(ジャーナリスト・タレント)
・李 娜兀(国際交流コーディネーター・通訳)
・トニー・ラズロ(ジャーナリスト)
・ティムラズ・レジャバ(駐日ジョージア大使)

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

銅に50%関税、トランプ氏が署名 8月1日発効

ビジネス

FRB金利据え置き、ウォラー・ボウマン両氏が反対

ワールド

トランプ氏、ブラジルに40%追加関税 合計50%に

ビジネス

米GDP、第2四半期3%増とプラス回復 国内需要は
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:トランプ関税15%の衝撃
特集:トランプ関税15%の衝撃
2025年8月 5日号(7/29発売)

例外的に低い日本への税率は同盟国への配慮か、ディールの罠か

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ウォーキングだけでは「寝たきり」は防げない──自宅で簡単にできる3つのリハビリ法
  • 2
    枕元に響く「不気味な咀嚼音...」飛び起きた女性が目にした「驚きの光景」にSNSでは爆笑と共感の嵐
  • 3
    【クイズ】1位は韓国...世界で2番目に「出生率が低い」国はどこ?
  • 4
    M8.8の巨大地震、カムチャツカ沖で発生...1952年以来…
  • 5
    一帯に轟く爆発音...空を横切り、ロシア重要施設に突…
  • 6
    いま玄関に「最悪の来訪者」が...ドアベルカメラから…
  • 7
    12歳の娘の「初潮パーティー」を阻止した父親の投稿…
  • 8
    「自衛しなさすぎ...」iPhone利用者は「詐欺に引っか…
  • 9
    街中に濁流がなだれ込む...30人以上の死者を出した中…
  • 10
    日本人の児童買春ツアーに外務省が異例の警告
  • 1
    ウォーキングだけでは「寝たきり」は防げない──自宅で簡単にできる3つのリハビリ法
  • 2
    幸せホルモン「セロトニン」があなたを変える──4つの習慣で脳が目覚める「セロ活」生活のすすめ
  • 3
    囚人はなぜ筋肉質なのか?...「シックスパック」は夜つくられる
  • 4
    いきなり目の前にヒグマが現れたら、何をすべき? 経…
  • 5
    航空機パイロットはなぜ乗員乗客を道連れに「無理心…
  • 6
    中国が強行する「人類史上最大」ダム建設...生態系や…
  • 7
    「様子がおかしい...」ホテルの窓から見える「不安す…
  • 8
    タイ・カンボジア国境で続く衝突、両国の「軍事力の…
  • 9
    中国企業が米水源地そばの土地を取得...飲料水と国家…
  • 10
    【クイズ】1位は韓国...世界で2番目に「出生率が低い…
  • 1
    その首輪に書かれていた「8文字」に、誰もが言葉を失った
  • 2
    頭はどこへ...? 子グマを襲った「あまりの不運」が話題に
  • 3
    ウォーキングだけでは「寝たきり」は防げない──自宅で簡単にできる3つのリハビリ法
  • 4
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...…
  • 5
    幸せホルモン「セロトニン」があなたを変える──4つの…
  • 6
    「細身パンツ」はもう古い...メンズファッションは…
  • 7
    囚人はなぜ筋肉質なのか?...「シックスパック」は夜…
  • 8
    「ベンチプレス信者は損している」...プッシュアップ…
  • 9
    ロシアの労働人口減少問題は、「お手上げ状態」と人…
  • 10
    いきなり目の前にヒグマが現れたら、何をすべき? 経…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story