コラム

アメリカで浸透しつつある日本の「ボカシ」は、バイデン政策の切り札になれる

2021年05月27日(木)17時52分
トニー・ラズロ
ぼかし

TONY LÁSZLÓ

<環境政策と雇用促進を同時に推進する米バイデン政権の「市民気候部隊」に、ぜひBokashi活用をおすすめしたい>

パンデミック(感染症の世界的大流行)と地球温暖化に対する解決方法を見いだすだけでなく、それらをいいチャンスにしよう。アメリカのジョー・バイデン大統領がそうアピールして、総合的な成長戦略を打ち出している。

その一部、「市民気候部隊」政策は特に好評だ。ニューディール時代の「市民保全部隊」を模したもので、100億ドルを投じて環境政策を推進しながら、雇用促進を約束している。最近の世論調査によれば、民主党員の80%、共和党員の74%が支持している。100万人以上を雇おうとしているのだから当然だ。しかも、これらの仕事に恵まれる人は、気候変動対策に貢献しながら、かなりいい賃金が得られるという。なかなか魅力的な話なのだ。

ネーミングもいい。市民気候部隊は英語で"Civilian Climate Corps"。連続する単語がこうして同じ音の子音で始まっている形態を「頭韻法」と言う。英語話者の心をつかむ技法だ。

アメリカの気候変動対策は風力タービンやソーラーパネルが関係する大掛かりな建設が目立つが、ゴミ問題も重視されている。ということは、数年前からひそかに広まっている、とあるゴミ処理法も注目を浴びるかもしれない。

香りはぬか漬けとそう変わらない

その名も「Bokashi」。妙に日本語っぽいが、それは偶然ではない。「輪郭や色の濃淡の境目をぼんやりさせること」を意味する日本語「ぼかし」が今、英語をはじめとする外国語において定着しつつあるのだ。

ボカシとは、主に台所の生ゴミを乳酸菌の力によって発酵、分解させるプロセスのこと。コンポスト(堆肥作り)の一種であり、日本でも「ボカシ肥料」として知られている。

わが家でもこれを最近始めた。乳酸菌を培養するところから出発しているが、少なくともうちの実験で言えば、やり方はぬか漬けに極めて近い。つまり、乳酸菌発酵で作った米ぬかに何かを沈め、漬け込むのだ。ただボカシの場合、その「何か」は野菜ではなく、生ゴミである。

今、うちの車庫にはボカシ用バケツがおいてある。ふたを開けたときの「香り」は......強いて言えば、ぬか漬けとそう変わらない。それもそのはず、その生ゴミはキュウリやニンジンと同じように漬けられているものなのだから。

プロフィール

外国人リレーコラム

・石野シャハラン(異文化コミュニケーションアドバイザー)
・西村カリン(ジャーナリスト)
・周 来友(ジャーナリスト・タレント)
・李 娜兀(国際交流コーディネーター・通訳)
・トニー・ラズロ(ジャーナリスト)
・ティムラズ・レジャバ(駐日ジョージア大使)

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

イラン攻撃、指導者個人を標的の可能性 政権交代も選

ワールド

イラン、核協議の対案を数日内に準備へ 米国は限定攻

ワールド

トランプ関税は違法、米最高裁が判断 緊急法は大統領

ビジネス

米GDP1.4%増に急減速、25年第4四半期速報値
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:ウクライナ戦争4年 苦境のロシア
特集:ウクライナ戦争4年 苦境のロシア
2026年2月24日号(2/17発売)

帰還兵の暴力、ドローンの攻撃、止まらないインフレ。国民は疲弊しプーチンの足元も揺らぐ

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「ヘル・コリア」から日本へ7万人 ── 大企業の高給より日本の「100%就職率」を選ぶ若者たち
  • 2
    海外(特に日本)移住したい中国人が増えている理由...「落葉帰根」派も「落地生根」派も
  • 3
    命は長し、働け女たち――88歳「働くばあさん」が説く高齢期の「4つの覚悟」
  • 4
    100万人が死傷、街には戦場帰りの元囚人兵...出口な…
  • 5
    ロシアに蔓延する「戦争疲れ」がプーチンの立場を揺…
  • 6
    中国政府に転んだ「反逆のアーティスト」艾未未の正体
  • 7
    ディープフェイクを超えた「AI汚染」の脅威──中国発…
  • 8
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」…
  • 9
    「窓の外を見てください」パイロットも思わず呼びか…
  • 10
    生き返ったワグネルの「影」、NATO内部に浸透か
  • 1
    「ヘル・コリア」から日本へ7万人 ── 大企業の高給より日本の「100%就職率」を選ぶ若者たち
  • 2
    「罠に嵌められた」と主張するが...欧州で次々と摘発される中国のスパイ、今度はギリシャで御用
  • 3
    【銘柄】マイクロソフトの株価が暴落...「AI懸念」でソフトウェア株総崩れの中、投資マネーの新潮流は?
  • 4
    「ヒンメルならそうした」...コスプレイヤーが消火活…
  • 5
    なぜ「あと1レップ」が筋肉を壊すのか...「高速パワ…
  • 6
    海外(特に日本)移住したい中国人が増えている理由.…
  • 7
    台湾侵攻「失敗」の大きすぎる代償
  • 8
    「目のやり場に困る...」アカデミー会場を席巻したス…
  • 9
    オートミール中心の食事がメタボ解消の特効薬に
  • 10
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トラン…
  • 1
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 2
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を空中爆破...地上から撮影の「レア映像」を公開
  • 3
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 4
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」…
  • 5
    台湾侵攻「失敗」の大きすぎる代償
  • 6
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 7
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた…
  • 8
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡…
  • 9
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トラン…
  • 10
    「ヘル・コリア」から日本へ7万人 ── 大企業の高給より…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story