コラム

外国人は何年いてもしょせん「ガイジン」 日本が中国の製造業から学べること

2021年01月11日(月)09時20分
石野シャハラン(異文化コミュニケーションアドバイザー)

昨年はコロナ禍での訪日客の減少に伴う観光業の不振が大きな話題となった。インバウンド頼みがどんなに心もとないものか、多くの日本人は理解したと思う。歴史的建造物や美しい自然などを持つ国にとって、インバウンド関連の観光業は手っ取り早く稼ぐ手段であり、ブームが来れば逃す手はないが、同時に easy come, easy go であることも忘れてはならない。インバウンドは国の産業の柱にするにはあまりにも危うく、私の生まれたイランやトルコなどのように高度な技術や高価値を生む製造業を持たない国がすることであって、日本のような国がすることではないと私は考える。

日本は戦後培ってきた高度な技術と、それを支える教育、つまり世界に誇れる十分な土壌がまだある。30年前から中国はその日本から貪欲に学び、国を挙げて予算と頭脳をつぎ込み、論文と特許の数で世界をリードするまでになった。全てを中国に学べとは思わないが、参考にできる点はたくさんあるはずだ。

日本はさらなる技術発展と製造業拡大を追求するべきであり、私の友人のような人にとって「働きがいのある」「苦労が報われる」社会・企業にならなければならない。それが日本に経済・文化的な豊かさをもたらし、ひいては多くの日本人にとっても生きやすい国になるはずだ。

toykyoeye_ishino_profile_w100.jpg石野シャハラン
SHAHRAN ISHINO
1980年イラン・テヘラン生まれ。2002年に留学のため来日。2015年日本国籍取得。異文化コミュニケーションアドバイザー。シャハランコンサルティング代表。@IshinoShahran

<本誌2021年1月12日号掲載>

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