コラム

日本の政治家は子供のことを考えている? 一斉休校が家庭に与えた深刻な影響

2020年08月21日(金)17時20分
西村カリン(ジャーナリスト)

こんな問題は、給付金をいくらもらっても解決しない。第2波が来る前に、早く休校の必要性とその影響などを分析した上で次の対策を考えるべきだと思ったが、既に第2波は始まっているのに何も進んでいない。新型コロナ対策を担当する西村康稔経済再生担当相は、子供のための政策については全く触れていない。経済活動への影響を最低限にすることしか考えていない。

安倍晋三首相は5月25日、休校の長期化をめぐってこう述べた。「政府としては、1人1台のIT端末の整備の大幅な前倒しや......あらゆる手段を尽くして子供たちの学びの保障に取り組んでおります」

前倒し? 2013年6月に閣議決定された世界最先端IT国家創造宣言には「学校の高速ブロードバンド接続、1人1台の情報端末配備、電子黒板や無線LAN環境の整備、デジタル教科書・教材の活用等」を進め、「2010年代中には、全ての小学校、中学校、高等学校、特別支援学校で教育環境のIT化を実現する」と具体的な目標を掲げていた。

前倒しなどではない。既に大幅に遅れているのだ。

magTokyoEye_Nishimura.jpg西村カリン
KARYN NISHIMURA
1970年フランス生まれ。パリ第8大学で学び、ラジオ局などを経て1997年に来日。AFP通信東京特派員となり、現在はフリージャーナリストとして活動。著書に『不便でも気にしないフランス人、便利なのに不安な日本人』など。

<本誌2020年8月25日号掲載>

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2020年8月25日号(8月18日発売)は「コロナストレス 長期化への処方箋」特集。仕事・育児・学習・睡眠......。コロナ禍の長期化で拡大するメンタルヘルス危機。世界と日本の処方箋は? 日本独自のコロナ鬱も取り上げる。

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