日本人の英語力強化に必要なのは入試改革だけじゃない
問題は、こうしたセッションになかなか日本人学生が集まらないことだ。参加する必要を感じず、関心も持たない学生を巻き込むためには、さまざまな工夫が必要だった。学生たちの間に、留学などの海外経験よりも「4年間で卒業して就職する」ことを優先する意識があるとも強く感じた。
外務省の旅券統計によれば、パスポートを持つ日本国民は4人に1人にすぎないという。日本人の英語力に問題があるとすれば、入試を変えるよりも、こうした「内向き意識」を変え、旅行、留学、仕事などで外国に興味を持てるようにすることのほうが重要ではないだろうか。
そもそも日本で高校までに習う必須英単語は3000語程度だ。ネイティブレベルでのやりとりには2万語程度が必要になることを考えると、大学入学後、そして卒業後も英語を学び、使い続ける動機や意欲を育てるほうがはるかに重要だろう。
今回の国主導の英語民間試験導入は失敗に終わった。だが大胆な改革を目指しつつ土壇場で撤回した経緯から、これまでの日本とは違う新鮮さも感じた。「日本らしくない」ドタバタ劇は、裏を返せば、「使える英語力が必要だ」という日本政府や教育関係者の本気の危機感の表れでもある。こうした危機感が、社会の意識を「内向き」から「外向き」へと変える起爆剤になるといいな、と考えている。
李 娜兀
NAOHL LEE
国際交流コーディネーター・通訳。ソウル生まれ。幼少期をアメリカで過ごす。韓国外国語大学卒、慶應義塾大学大学院法学研究科博士課程単位取得(政治学専攻)。大学で国際交流に携わる。2人の子供の母。
<本誌2019年12月24日号掲載>

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