山本由伸が変えた「常識」──メジャーを揺るがせた235球の真実
THE MAKING OF A GOAT
5-4の延長11回1死一、三塁。カークのゴロをさばいた遊撃ムーキー・ベッツが二塁を踏み一塁送球で併殺を完成させると、全員が山本めがけて駆け出した。背番号18を中心に歓喜の輪が広がった。
「みんなが自分のところに来てくれた時は、今までで一番の喜びを感じた。涙も久しぶりにあふれてきた」
日本人選手では09年の松井秀喜以来、2人目となるWSでのMVPを受賞。WS胴上げ投手も13年の上原浩治以来2人目だった。今季5度目のシャンパンファイトは大谷に後ろから抱きかかえられた。その大谷は「彼が世界一の投手だと思っているし、チームもそう思っている。異論はないんじゃないかな」。世界で最高の賛辞だった。
WS3勝は01年ランディ・ジョンソン(ダイヤモンドバックス)以来24年ぶりで、全て敵地では史上初めて。伝説再現へのきっかけは、トレーナーの矢田氏だった。前夜の第6戦、山本は先発で6回、96球を投げて勝ち投手となり3勝3敗の逆王手とした。常識的に第7戦の出番はない。第6戦後に「1年間ありがとうございました」と同氏に感謝の言葉を伝えると「明日、ブルペン投球できるくらいには持っていこう」と思わぬ言葉を返された。





