山本由伸が変えた「常識」──メジャーを揺るがせた235球の真実

THE MAKING OF A GOAT

2025年11月16日(日)18時54分
柳原直之(スポーツニッポン記者、MLB担当)

「いいと思った」ものは信じて取り入れる。ブレない信念と変化を恐れぬ勇気、そして自身が進化するために前例にとらわれないマインドは大谷とも共通するところかもしれない。

その後、山本は2勝3敗で後がない状況で臨んだ10月31日の第6戦に先発し、6回5安打1失点でWS2勝目。PS通算6勝は、ダルビッシュ有、田中将大を抜く日本人投手単独トップとなった。

この試合後の会見で、山本は「明日もプレーする人は大変だと思います」と笑い、ロバーツ監督も「明日は総力戦になる。全員が投げる」と語ったが、記者に「山本も含まれるのか?」と質問されると「すまない。山本は含まれない」と語っていた。

だが、事態は急転する。翌日の第7戦で試合前のキャッチボールを行い、ロバーツ監督が試合前会見で「本人は体調が良ければもちろんやる気はあると言っている」と発言。1-3の5回裏の守備を前に、山本とスネルが右翼後方のブルペンへと向かった。

そして、同点の9回1死一、二塁から連投で6番手として登板。最初の打者アレハンドロ・カークに死球を与え、満塁でも慌てなかった。ドールトン・バーショを二ゴロ、アーニー・クレメントをセンターフライに抑えて絶体絶命のピンチを救った。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

GDP7─9月期は6四半期ぶりマイナス、自動車など

ワールド

トランプ関税、牛肉・コーヒーなどの食品除外 インフ

ワールド

ネタニヤフ氏、パレスチナ国家への反対強調 極右から

ワールド

ロシアとビジネスを行う国に制裁、共和党が法案準備=
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:世界最高の投手
特集:世界最高の投手
2025年11月18日号(11/11発売)

日本最高の投手がMLB最高の投手に──。全米が驚愕した山本由伸の投球と大谷・佐々木の活躍

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    【銘柄】ソニーグループとソニーFG...分離上場で生まれた「全く異なる」2つの投資機会とは?
  • 3
    筋肉の正体は「ホルモン」だった...テストステロン濃度を増やす「6つのルール」とは?
  • 4
    「中国人が10軒前後の豪邸所有」...理想の高級住宅地…
  • 5
    南京事件を描いた映画「南京写真館」を皮肉るスラン…
  • 6
    悪化する日中関係 悪いのは高市首相か、それとも中国…
  • 7
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 8
    【写真・動画】「全身が脳」の生物の神経系とその生態
  • 9
    レアアースを武器にした中国...実は米国への依存度が…
  • 10
    反ワクチンのカリスマを追放し、豊田真由子を抜擢...…
  • 1
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 2
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 3
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披露目会で「情けない大失態」...「衝撃映像」がSNSで拡散
  • 4
    「死ぬかと思った...」寿司を喉につまらせた女性を前…
  • 5
    【銘柄】ソニーグループとソニーFG...分離上場で生ま…
  • 6
    【写真・動画】「全身が脳」の生物の神経系とその生態
  • 7
    筋肉の正体は「ホルモン」だった...テストステロン濃…
  • 8
    『プレデター: バッドランド』は良作?駄作?...批評…
  • 9
    「イケメンすぎる」...飲酒運転で捕まった男性の「逮…
  • 10
    ドジャースの「救世主」となったロハスの「渾身の一…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 5
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 6
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」…
  • 7
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 8
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 9
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 10
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中