山本由伸が変えた「常識」──メジャーを揺るがせた235球の真実
THE MAKING OF A GOAT

延長18回にフリーマンがサヨナラ弾を放って死闘に終止符を打ち、幸い山本の登板機会は訪れなかったが、試合後にデーブ・ロバーツ監督がグラウンド上で山本を抱き締め感謝の気持ちを示しているシーンは日米の野球ファンに強い感動を与えたことだろう。
その後、クラブハウスで山本は「19歳の頃は何でもない試合で投げて、10日間くらい投げられなかったりした。そこから何年も練習し、WSで完投した2日後に投げられる体になったのはすごく成長を感じた。矢田修という方がどれだけすごいかを証明できた」と語り、オリックス時代から師事するトレーナーへの感謝の言葉を口にした。
「涙が久しぶりにあふれてきた」
なぜ、山本はここまで驚異的なパフォーマンスを維持することができるのか。矢田氏が推奨するやり投げトレ、三点倒立、ブリッジなど体の使い方を覚えるトレーニングのほかに、興味深いのは、登板後にアイシング療法を全く取り入れない点だ。この2年間、山本がアイシングをしているところを見たことがなかった。
山本によれば、転機は「18歳くらい。(オリックス時代の)1年目とか」。アイシングをした翌日より、しないときのほうが「すごく感覚良く練習ができた。そこから全部うまくいったので変わらず」という。一般的にアイシングは急性期のけがの腫れや痛みを抑え、回復を早める効果があるが、炎症による正常な治癒過程を妨げたり、回復を遅らせたりする可能性があるともいわれている。イチロー氏もアイシングをしないことで有名だ。





