中国、ネット上の「敗北主義」を排除へ ――全国キャンペーンを開始、通報も奨励
China Calls on Citizens to Report Negative Posts Online

香港中環の出勤風景 SCMP / Eugene Lee
<景気低迷で希望を失った若者の不満も検閲対象に>
中国のインターネット規制当局が、「悲観的」「ネガティブ」「敗北主義的」なオンラインコンテンツを排除する新たなキャンペーンを開始した。ユーザーに対しては、こうした基準に違反する投稿の通報を促している。
中国国家インターネット情報弁公室(サイバー空間管理局)は9月22日の通知で、「敗北主義的」と見なされる投稿の例として、「努力も勉強も無意味だ」といった考えを挙げている。
中国の検閲当局はこれまで、共産党の脅威となる政治的にデリケートな言論をターゲットにしてきた。新型コロナウイルス流行初期のように、政府が隠そうとしている情報の流布や党指導部に対する批判まで対象は幅広い。物議を醸すコンテンツを拡散させたプラットフォームは高額な罰金を科され、ユーザー自身もアカウントの凍結、さらには身柄拘束に至るケースもある。
しかし近年では、経済的なプレッシャーの高まりもまた、敏感な話題となっている。成長の減速や不動産不況の長期化によって消費者心理が冷え込み、賃金・物価の低迷が続いている。若年層の失業率は依然として高く、将来に希望が持てない現状を反映して、厳しい現実から距離を置こうとする「寝そべり族」や「ネズミ人間」という言葉も広がっている(関連記事)。