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ガザの記者が消された意味 本当の物語はもう世界に届かない

Killing the Witness: Gaza’s Journalists and the Global Blueprint of Disappearance

2025年8月13日(水)21時37分
ジョン・マークス

米非営利団体(NPO)、ジャーナリスト保護委員会(CPJ)によれば、2023年10月7日のイスラエル奇襲以降、少なくとも記者192人が死亡している(8月11日時点)。内訳は、パレスチナ人184人、イスラエル人2人、レバノン人6人。

国際ジャーナリスト連盟(IFJ)によれば少なくとも報道関係者195人が死亡。ガザ政府メディア局は238人と主張し、ブラウン大学「戦争のコスト」プロジェクトは3月下旬までに約232人と記録している。外国特派員や報道支援スタッフ、行方不明で死亡が推定される記者を含めるかどうかで差が出る。

死亡が確認された数だけでも、CPJの記録で最も多くの記者の命が奪われた紛争となり、ペースでも数でも他を上回る。2023年10月7日〜2025年8月11日まで、月平均8~9人の記者が殺され、合計192人に達した。

アメリカのイラク戦争ではCPJの定義で記者・報道関係者204人が死亡しているが、イラク戦争は8年以上続いた。

どの数字も、家族や同僚を持ち、真実の報道が途中で断たれた一人の人間を意味する。IFJは、ガザの全記者人口の10%以上が殺害されたと推定している。

このようなパターンが偶然起こることはない。死亡の規模とペースは、戦争の事実を伝える能力を持つ者を排除する意図的な動きであることを示唆している。

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